米FDA B細胞急性白血病治療薬・Blincytoを承認
公開日時 2014/12/10 03:50
米食品医薬品局(FDA)は12月3日、フィラデルフィア染色体陰性前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病の適応で米アムジェン社のBlincyto(一般名:ブリナツモマブ、blinatumomab)を承認した。同剤は、BiTE(Bispecific CD19-directed CD3 T-cell engager)としてFDAが初めて承認した薬剤である。同剤は、再発あるいは前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病(前駆B細胞ALL)を対象としている。
FDAは、同剤については、画期的新薬指定ばかりでなく、優先審査および希少疾病薬の指定を行った。同剤は、迅速審査で承認され、ユーザーフィーデート(審査完了予定日)の2015年5月19日よりも約5か月前倒しで承認され、FDAの同剤への期待感が浮き彫りにされた。
同剤の安全性および有効性は、フィラデルフィア染色体陰性の再発もしくは難治性B細胞ALL患者185例を対象とした臨床試験で検証された。全患者が同剤の治療を受け、32%の患者で、約6.7か月完全寛解を持続した。
FDAは、製薬企業に対して、今後、同剤が、フィラデルフィア染色体陰性の再発もしくは難治性B細胞ALL患者において生存率を改善するかどうかの試験を実施することを求めている。また、市販後副作用モニタリング制度である「リスク緩和軽減計画」(REMS)が課せられた。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「免疫療法、特にユニークな作用機序をもったBlincytoは、白血病患者に前途を与える」と述べたうえで、「FDAは、この新規治療法の可能性を認識したことによって、本剤の承認に向けて、画期的新薬指定制度のもとで、申請企業に対して前向きに協力に努めた」と話し、同剤の承認を急いだ経緯を説明した。
アムジェン社のSean E Harper副社長(研究開発担当)は、FDAが同剤について、FDAが画期的新薬、迅速審査などの対象としたことは、同疾患の臨床的ニーズが高かったことを示したものと述べた。その上で、「Blincytoは、がんと闘う身体の免疫系を助ける新規かつ革新的なアプローチであるBiTEプラットホームについての初めての臨床的かつ規制上の検証となる」と話した。
前駆B細胞ALLは、骨髄が白血球の未熟な形であるB細胞リンパ芽球を過剰に産生することによって急速に進行する血液がん。米国立がん研究所(NCI)は、2014年には、米国で6020人がALLと診断され、そのうち1440人が死亡すると推定している。