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2015年はMRによる医療貢献元年 環境変化の潮目を自ら捉えよ!

公開日時 2015/01/07 03:52

MRによる医薬品の情報提供活動が大きな岐路に立たされている。2000年代初頭から続いたブロックバスターモデルが崩壊し、コール数をベースとしたキーメッセージ発信型のプロモーションが通用しなくなってきた。病院の訪問規制強化で医療者がMRを峻別し、選ばれたMRのみ医師との面会を許される。一方で営業部門とは完全に切り離す形でメディカル・アフェアーズなる人員が製薬企業内に組織化され、医師とコンタクトするような時代となった。地域をベースに医療環境が大転換を迎えるなかでMRの役割とは何なのか考えてみた。(沼田 佳之)

 
「厚労省がここ数年で行ったジェネリック(GE)使用促進策が予想を上回る速さでマーケットを変化させた」――。恐らく業界人であれば誰でも感じるであろう。2000年代初頭は高血圧や高脂血症などの新薬が内資・外資の大手製薬企業から相次いで発売され、急激に医薬品マーケットを拡大させた。各社はこぞってMRを増強し、30万人の医師に対し6万5000人のMRがフルカバーできる体制を築き上げた。MRは自身の担当する病院や診療所を日参し、製品名の連呼とKOLが発するキーメッセージの伝達に明け暮れた。マーケティング戦略の基本はMRの訪問回数とコール数をあげること。いわゆるシェア・オブ・ボイス(SOV)が主流となる。ちょうど同じ頃、医療界でも「根拠に基づく医療」(EBM)という概念が定着し、MRが提供する情報も各社の主力品で行った臨床研究のエビデンスが多用されるようになった。まさにエビデンス・ベースド・プロモーション全盛期である。
 
それから15年が経過した。ブロックバスターに成長した新薬が相次ぎ特許切れを迎える。それを待っていたかのように厚労省はGEの使用促進策を矢継ぎ早に打ち出し、年商1000億円を稼いだ製品が瞬く間に売上を半減させる時代がやってきた。
 
マーケットがひとたび動き出すと後戻りすることは無い。製薬各社もブロックバスターの売上をキープしようと様々なマーケティング戦略を試みるも、どれも厚労省の繰り出す施策によって無力化される。言うなれば2000年代初頭にMR大量投入による“SOV型プロモーション”で燃え盛った炎を、厚労省のGE促進策という消火剤で完全に駆逐し、鎮火させたと言っても過言ではないだろう。これが2015年の医薬品マーケットなのだ。
  
MR大量投入時代は終焉
 
MR大量投入時代は終焉した。ブロックバスターと呼ばれる大型新薬が数少なくなる中で、今後は難治がんや中枢神経系の革新的新薬が活況の時代を迎える。これら薬剤を扱うことのできる医師は専門医に限られる。また、こうした疾患を管理する医療機関も、これまでのような全国全ての病院・診療所という訳にはいかず、専門医のいる専門病院に集約化されるだろう。
 
厚労省は2015年度から地域包括ケアの実現にむけて本格的な取り組みをスタートさせる。その点で言えば、MRに求められる能力は専門的な情報を専門医と共有し、新薬の価値を最大化することで患者のベネフィットを守るということに他ならない。
 
一方、プライマリケアの領域でも、医療圏単位の病診連携、診診連携、さらには医療・介護の一体的連携などの議論に発展し、そこに関わる医師や薬剤師、看護師などの多職種連携が重要な役割を果すようになる。であればMRが担う役割も様変わりしなければならない。もちろん自社新薬の有効性・安全性情報の提供は必須だが、これに加えて地域内での医療受給や地域内における医療情報ネットワーク構築などをどうサポートするかも重要な役割になると考える。まさに医療への貢献が求められるという訳だ。
 
新年号に際しミクス編集部は「MRは地域包括ケア実現をサポートせよ」というメッセージを発信した。MRにとって2015年は“医療貢献元年”として様々な議論が拡大し、発展することを望む。
 
これは1月号特集「2015年 激変迫られる医薬品ビジネス」の総論です。さ
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