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厚労省 重複投薬解消でかかりつけ医と薬局との連携評価を提案 中医協総会 

公開日時 2019/11/18 03:53
厚労省は11月15日、中医協総会に、外来時の重複投薬の解消に向け、かかりつけ医が主体となり、薬局や医療機関と連携・調整を行うことを新たに評価することを提案した。具体的には、かかりつけ医が薬局に服用薬や重複投薬の把握を依頼。薬局で得られた情報を活用しつつ、他の医療機関と調整を行い、重複投薬を解消する姿を描いた。診療・支払各側がこのスキームには理解を示したものの、「重複投薬について連絡・調整したこと自体を評価すべき」(診療側・松本吉郎委員・日本医師会常任理事)、「減薬を達成して初めて評価すべき。ステップの途中で評価するのは違う」(支払側・幸野庄司委員・健康保険組合連合会理事)と診療・支払各側で評価については意見がわかれた。

◎医療機関・保険薬局・保険者が一体となって重複投薬解消へ

厚労省はこの日の中医協に、外来時の重複投薬への対応を具体的なイメージとして提示した。かかりつけ医が主体となり、処方薬の一元把握、重複確認などを薬局に依頼。依頼を受けた薬局が服用薬・重複投薬を把握し、その確認結果をかかりつけ医に連絡する。この確認内容を活用し、かかりつけ医が重複投薬の有無を評価し、その結果を患者に説明。必要に応じて他の医療機関と処方内容を調整する。この調整結果を薬局と共有する、という5つのステップからなるスキームを描いた。レセプト情報も活用し、保険者からは重複投薬の可能性のある患者について医療機関に連絡することも明記。保険者、医療機関、薬局が一体となって残薬解消に取り組む必要性を強調した。

保険薬局の確認内容についても例示し、お薬手帳や患者への聞き取りを通じ服用中の薬剤や服用期間、処方医療機関などを把握し、一覧表を作成して医療機関に報告することとした。このほか、「その他必要に応じて確認することが期待される事項」として、服薬アドヒアランスのほか、OTC、サプリメントなどの摂取情報、食事・睡眠など患者の生活情報などを列挙した。

◎診療側・有澤委員「保険薬局は相当な負担」 新たな評価求める


診療側の松本委員は、「かかりつけ医による処方薬の管理を薬局が支援する取り組みは、積極的に評価すべき」としたうえで、プロセス評価を求めた。現行では薬局側を評価する点数として、重複投薬・相互作用防止加算があるが、診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「重複投薬・相互作用防止加算とは全く業務が異なる。かかりつけ薬剤師として、使用する薬剤を把握することは非常に大事だが、実際には相当な負担になる」と述べ、新たな評価を求めた。これに対し、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「実効性を担保する必要があるし、具体的な要件の設定が必要。モデル化して進めていって評価に値するかどうかというステップが必要」との考えを示した。

◎支払側・幸野委員 残薬対応で処方箋様式変更を提案


このほか、残薬への対応についても議論の俎上にのぼった。医師・薬剤師の連携ツールとして、お薬手帳や処方箋の活用に議論が及んだ。2016年度診療報酬改定では、医療機関と保険薬局が連携し、残薬確認や残薬に伴う日程調整ができるよう、処方箋様式が見直された。現行ではチェックがあった場合に、薬局で残薬を確認し、「医療機関へ疑義紹介した上で調剤」か、「医療機関へ情報提供」のいずれかで対応することとなっている。支払側の幸野委員は、新たに「残薬調整後の報告」をチェック欄に設けることを提案した。これに、支払側の松本委員は、「残薬に対してはまず医療機関にフィードバックするのが原則。調剤が判断するのは好ましくない」と反発した。

◎後発品使用促進でペナルティー導入も議論 支払側は診療所への評価拡充求める


この日の中医協では後発品の使用促進も議論にあがった。後発品80%目標が迫るなかで、後発品の数量シェアは72.6%(2018年9月時点)まで伸長している。一般名処方も順調に増加し、51.0%まで伸びた(18年6月時点)。薬局でもこのうち、80%が後発品を調剤している状況にある。一方で、目標達成間近であるものの、数量シェアの伸びは頭打ちの状況にある。支払側は後発医薬品使用体制加算などの数量シェア引上げと、著しくシェアが低い医療機関・薬局へのペナルティーを提案した。これに対し、診療側は、「後発品の数量シェア引上げは断固反対する。後発品の使用割合は地域差があることがわかっている。東京23区などのように60%、70%の基準は必要で国全体の使用割合で判断するのは間違いだ」(松本委員)などと反発した。

診療側の松本委員は、「目標達成のためにはさらにむちをいれるのではなく、まだ取り組みができていないところに手当てする方が効率的」と主張。診療所での後発品の数量シェアが低いことなどから、こうしたところへの評価の拡充を求めた。一方、支払側の幸野委員は、「まず要因分析を行うべき。医師の役割の一つとして後発品は効能効果が一緒だと患者に説明し納得してもらうのもかかりつけ医の一つの責務だ」と述べるなど、一歩も譲らなずに議論は集結した。
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