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塩野義・澤田副社長 新型コロナでMR訪問は「確実に減る」 興味引くコンテンツ提供の勝負に

公開日時 2020/05/12 04:52
塩野義製薬の澤田拓子副社長は5月11日、インターネットで実施した2020年3月期(19年度)の決算説明会で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響のひとつとして、「MRが医療機関を訪問して話をする機会は確実に減ると考えている」と話した。「先生方が、いかに興味を持ってもらえるツールを提供できるかの勝負になる」と見通し、リアルとデジタルの両方を活用して、医師の興味・関心を把握し、きめ細やかな情報活動を展開していく構えをみせた。MR数は「業界全体として減っていく」と指摘。疾患全体を理解して患者ベースの情報提供ができるMRがより求められるとの見方も示した。

手代木功社長は説明会で、新型コロナの予防ワクチンの開発に「一番力を入れて進めている」と強調した。臨床試験を20年内に開始し、1000万人規模のワクチンを供給できる体制を目指すとした。この生産体制の構築に100~200億円の設備投資が必要とも語った。澤田副社長は、第二波、第三波の流行リスクが指摘され、規制当局も早急にワクチンが使用できる状況を目指していることから、「(予防ワクチンは)早ければ年度内に使えるようになっていることも十分想定できる」と話した。

塩野義は、グループ会社のUMNファーマが持つ昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術を活用して、国立感染症研究所や九州大学と協働し、シオノギ主導で予防ワクチン(組換えタンパクワクチン)の開発に着手している。

■訪問規制強化で困っている医師は「決して多くない」

新型コロナの感染拡大の抑制に向けて、多くの製薬企業が2月下旬からMRなどによる医療機関訪問を自粛している。医療機関側も、MRに限らず、訪問規制をより強化している。

澤田副社長は、「訪問規制が行われている結果として、先生方が今、(情報に)本当に困っているのかと言えば、困っておられる先生は決して多くはない」との認識を示した。そして、デジタルツールを活用して情報提供すると、「先生方が取捨選択し、興味のあるものからみられる。(今後も)おそらくそういう形になっていく」とし、顧客のニーズを踏まえた情報や、顧客が潜在的に欲する情報を提供できるかどうかの勝負になるとの見方を示した。

■疾患の全体的な相談相手に

一方で、澤田副社長は、顧客側から訪問を求められる今後のMR像にも触れた。「先生方や患者さんにとって最も重要なことは、悩みや苦しんでいる病気そのものをいかに治すかだ」とし、「たまたま当社の医薬品がフィットすればそれを使っていただく。そうでなければ疾患の全体的な相談相手になる。このようなMRを育成しなければいけない」と述べ、疾患全体を理解して患者ベースの情報活動ができるMRがより求められていくとの考えを示した。

同社では疾患軸で情報提供する取り組みを進めており、19年10月にエムスリー社と合弁会社ストリーム・アイを設立した。合弁会社の社長を澤田氏が務め、様々な疾患課題の解決に向けて、MR活動とデジタルを連動させて医療従事者一人ひとりのニーズを踏まえた情報提供モデルの確立を目指している。まずインフルエンザ領域から事業を始めた(記事はこちら)。20年4月からは塩野義の社内に疾患の啓発・予防・診断・治療戦略を立案すると同時に、エビデンス構築、情報収集・分析・提供を総合的に管轄する「ヘルスケア戦略本部」を新設し、製品軸だけでなく疾患軸で治療情報を広く提供する取り組みをスタートさせた(記事はこちら)。

手代木社長は説明会で、ストリーム・アイのツールやe-ディテールによる医師のアンメットニーズの把握と効率的な情報提供に触れながら、「(デジタルが)今後の情報活動のベースになり得る」との認識を示した。

■ゾフルーザの耐性ウイルス 19-20シーズンは「ほとんど出ていない」 

塩野義の19年度連結業績は売上3349億円(前年度比7.9%減)、営業利益1252億円(9.6%減)と減収、各利益段階で減益となった。国内医療用医薬品売上は1086億円(15.6%減)の2ケタ減収だった。

国内医療用薬事業は、インフルエンザの流行が「近年稀にみる小規模なもの」であったことや、新型コロナによる受診抑制により、ゾフルーザ、ラピアクタ、体外診断薬ブライトポックのインフルエンザファミリー3製品が前年度比で計271億円の減収となったことが大きく響いた。このうちゾフルーザの19年度売上は4.3億円、前年度比で259億円の大幅減収だった。

ゾフルーザは前シーズン(18-19シーズン)に小児の耐性ウイルス問題が指摘されたが、手代木社長は「(耐性ウイルスは)19年9月の今シーズン開始からほとんどなく、このひと冬を通してもほとんど出ていない」と説明した。そして、「この耐性ウイルスの問題は、ふた冬を通して一定の見解は出つつあると思っている。(学会の)ガイドライン等をもう一度見直してもらい、普通にお使いいただける環境に持っていくのが我々の役目だと思っている」と述べた。

また、新型コロナの感染拡大により、“副作用は少なく、短期間に効く切れ味の良い抗ウイルス薬”が欲しいとの社会のニーズを「非常に感じる」と話し、「(抗インフルエンザ薬を)本当に必要な患者にシャープに使っていただくとき、ゾフルーザのような切れ味は必要ではないか」「ゾフルーザの出番が増えていくと思っている」とも語った。

20年度の連結業績計画は、売上3235億円(3.0%減)、営業利益1103億円(16.0%減)、親会社帰属純利益1036億円(15.3%減)の減収減益を見込む。国内医療用薬は売上1239億円と増収を見込むが、▽スイス・ロシュからのゾフルーザのロイヤルティ収入が前年度比113億円減▽クレストールのロイヤルティ収入が20年度から導入する国際会計基準(IFRS)により54億円減――となるなど、アライアンスに係るロイヤルティ収入のマイナスを国内の新製品群で補えないとした。ただ、今回の期初計画に新型コロナのワクチンなどは含めておらず、手代木社長は「固めの計画」だと強調した。

【19年度連結業績 (前年同期比) 20年度予想(前年同期比)】

売上高 3349億5800円(7.9%減) 3235億円(-)
営業利益 1252億3100万円(9.6%減) 1103億円(-)
親会社帰属純利益 1212億9500万円(8.6%減) 1036億円(-)
*20年度から国際会計基準(IFRS)を導入するため、増減率は未記載

【19年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 20年度予想、億円】
サインバルタ 261(241) 286
インチュニブ 106(53) 167
ビバンセ 0(-) 8
ゾフルーザ 4(263) - 注1
ラピアクタ 12(20) - 注1
ブライトポック 9(12) - 注1
オキシコンチン類 61(73) 56
スインプロイク 22(16) 29
アシテア 3(2) 3
ムルプレタ 1(2) 1
ピレスパ 68(57) 49
クレストール 89(99) 83
イルベタン類 44(54) 37

ロイヤルティ収入 1656(1803) 1483
 うちHIVフランチャイズ 1271(1244) 1263
 うちクレストール 220(220) 169
 うちゾフルーザを中心とする「その他」 165(339) 52

注1)COVID-19の流行により、各感染症薬の正確な見積もりが困難であるため、感染症薬の予想はゾフルーザ、ラピアクタ、ブライトポックなど14製品の合計額として265億円を計画。
注2)20年度計画はIFRSベース。
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