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【速報】中医協総会 毎年薬価改定の前提となる薬価調査の実施を了承 調査規模は縮小 豪雨災害地も除外

公開日時 2020/07/22 12:30
中医協は7月22日午前、薬価専門部会と総会を相次いで開き、21年度から導入される中間年改定(毎年薬価改定)の前提となる薬価調査の実施を決めた。調査は、6月17日の薬価専門部会に厚労省が提案した内容から変更はない。ただ、九州地方を中心とした7月の豪雨災害の被災地を対象から除外することも決めた。新型コロナウイルスの感染者が再び拡大するなかで、購入側の医療機関・調剤薬局、販売側の医薬品卸双方の負担を軽減するなどして、薬価調査の精度や回答率を高めたい考え。厚労省医政局の林俊宏経済課長は、「本来業務も制約を受けている状況で、価格交渉も短い中での交渉になると認識しているが、できるだけ多くの事業者の協力を得て調査を実施できるよう、現場からの理解を得られるように努力していきたい」と述べた。

2021年度から導入が予定される中間年薬価改定(薬価毎年改定)をめぐっては、先週17日に政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針2020)に、「本年の薬価調査を踏まえて行う2021年度の薬価改定については、骨太方針2018等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し、決定する」と明記された。中医協では診療側が新型コロナに伴う現場負担の高まりから薬価調査の実施に反対の姿勢を貫いてきたが、政府方針が決定したことを受け、厚労省は中医協を再開し、この日の議論となった。

◎林経済課長 骨太方針に従って薬価調査の実施向けて準備する

林経済課長は薬価専門部会で、「中間年の薬価調査は実施することを前提として骨太方針が策定された。この政府として決定された方針に従って薬価調査の実施に向けて準備を進める」と述べ、診療側、支払側双方に理解を求めた。

薬価調査の内容については、6月17日の中医協薬価専門部会から変更はなく、9月取引分を対象として規模縮小する調査案を改めて提案した。具体的には、全数調査との誤差が一定程度生じることから、販売サイド(医薬品卸)調査は一定程度の規模が必要と説明。層化無作為抽出法で2/3の抽出率(67%)で抽出された営業所約4400客体を対象とする。病院や診療所、薬局など購入サイド調査は、新型コロナウイルスで負担の大きい医療現場に配慮し、昨年度調査の半分の規模とする。具体的には病院約210客体、診療所約260客体、保険薬局約500客体。

◎診療側・松本委員 実施は「極めて遺憾」やるならば負担軽減を最大限行うべき


薬価専門部会で、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は改めて、「現在医薬品販売側の医薬品メーカーと医薬品卸、購入側である医療機関と薬局は新型コロナへの対応を最優先に総力戦で対応している。医薬品卸は感染防止のため、通常とは異なる配送体制を組んでおり、例年と同様の状況にはない」と説明。東京都などで感染者が増えている現状についても“第2波”が到来しているとして、医療現場が平時の状態とは異なることに理解を求めた。

そのうえで、「薬価調査を実施することについての判断は極めて遺憾だが、実施するのであれば医療機関や卸の負担軽減を最大限行うべき。購入側の調査の実施については例年以上に医療機関の負担にご配慮いただきたい。」と指摘した。具体的には、九州など豪雨の被災地を対象から除外することや、「医療機関が調査票を提出する際、わざわざ調査用の様式に転帰せずとも、医療機関で管理しているデータをそのまま提出することでもよいとするなど、方法はもっと検討をいただきたい」と要望した。

◎林経済課長 「負担軽減について工夫するよう検討したい」


これに対し、林課長は、「購入側調査は負担軽減について工夫をするように検討していきたい」と応じた。これを受け、松本委員は、「調査結果については例年以上に慎重な検討したうえで、それに基づく薬価改定の是非については改めて検討することと、調査に際しては、医療現場への十分な配慮をして実施していただくことを条件にして、調査については了承する」と述べた。

◎支払側・幸野委員「本来の目的である国民負担の軽減は確実に。今だからこそ実施すべき」


支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「医療現場は厳しい状況だが、今回の新型コロナの感染拡大は医療界や製薬業界だけでなく、日本経済全体に悪影響を及ぼしている。企業の業績悪化で医療保険財政も相当悪化されることが想定される。薬価調査、薬価改定の本来の目的である国民負担の軽減は確実に、今だからこそ実施すべき」と強調した。中医協は8月以降、薬価調査の具価的な範囲や薬価改定の在り方について議論を深め、12月に速報値が中医協総会に速報値が報告される。

なお、診療側の松本委員は総会の議事終了間際に発言を求め、「新型コロナウイルスが医療現場に与えている状況を把握することは極めて重要」として、医療現場の状況を把握する資料の準備を厚労省側に求めた。これに対し、支払側の幸野委員からは、「医療機関の経営状況を中医協で話すことに違和感がある。診療報酬を絡めてということであれば明確に反対する」と述べた。
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