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官民対話で製薬協・中山会長 行革の原価計算めぐる指摘「最大限開示している」と反論 関係方面に情報提供を

公開日時 2020/11/17 04:52
原価計算方式の透明性を指摘した政府・行革推進本部の「秋の行政事業レビュー」から一夜明けた11月16日、日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長(第一三共常勤顧問)はこの日の官民対話で追加発言を求め、「メーカーとしては、薬価交渉のなかで可能な限り、最大限情報開示を図っている」と主張した。その上で、厚労省に対し、官邸をはじめ関係方面に情報提供するよう要請した。出席した田村憲久厚労相も「認識した」と応じたという。毎年薬価改定の実施可否の議論を目前に控えるなかで、新たな課題に直面する。欧州製薬団体連合会(EFPIA)もこの問題に絡めて発言し、新薬創出等加算の制度変更や毎年薬価改定などで、「日本市場の価値が相対的に下がると危惧している」と行革の議論を牽制する一幕もあった。

この日は田村厚労相出席のもと「革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品創出のための官民対話」が東京都内で開かれた。予定された議事は「イノベーションの強化に向け今後の方策について」だが、前日の行革推進本部が行った行政事業レビューで薬価算定における原価算定方式の透明性の課題が取り上げられたことから、官民対話を通じて製薬産業側が追加的な発言を求める場面があった(関連記事)。

◎製薬協・中山会長「すべてが認められているわけでない。当局がチェックし算定している」

行革推進本部が指摘するのは原価計算方式について開示度の低さ。特に、外資系企業などで、国内に製剤化されたものを輸入している場合などの移転価格についての根拠も問い質され、製薬企業の“言い値”であるなど、厳しい指摘が相次いだ。官民対話に出席した製薬協の中山会長は、行革推進本部の指摘に疑義を示しながら、「原価計算方式で算定されている原価について、すべて認められているわけではない。当局がチェックしたうえで算定されている」として、厚労省から官邸に説明するよう訴えた。

一方、EFPIAは、「より適切なイノベーション評価」を優先すべき論点にあげた。そのうえで、具体例として、「科学的・医学的根拠に基づく新薬創出等加算の品目要件の実現」が必要だと指摘した。EFPIAの岩屋孝彦副会長(サノフィ代表取締役社長)は、日本発の新型コロナワクチンや治療薬が創出されていない現状に触れ、中長期的な創薬力を身に付ける必要性を指摘。「日本市場は、経年的に見ると厳しくなっている。相対的に日本市場の魅力も失われてくるのではないかとグローバル企業としては懸念している」などと述べた。

◎田村厚労相 懸念を受け止め「どういった形で両立を図るかが大事」

田村厚労相は、新薬創出等加算への製薬業界側からの懸念を受け止めたうえで、「国民皆保険のなかで財源に限りがあるなかで、どういった形で両立を図るかが大事だ」と述べたという。

◎日薬連・製薬協 薬価中間年改定は「慎重な対応をお願いしたい」

製薬業界にとって懸案である毎年薬価改定(薬価中間年改定)については、日本製薬団体連合会(日薬連)と製薬協は連名で、新型コロナ対応による、「卸と医療機関・薬局との価格交渉の大幅遅延、医療現場の多大な負担、医薬品業界の医薬品の安定供給への努力を踏まえると、薬価改定は困難な状況にあり、慎重な対応をお願いしたい」とした。これまでのスタンスを変えず、具体的な範囲や、改定率などには踏み込まなかった。また、中間年改定により、製薬業界への「影響は極めて大きい」とした。

このほか、今年末に時限措置の期限を迎える研究開発税制のうち、「総額型」については、控除上限の上乗せ措置の控除上限(法人税額の10%)と総額型の控除上限(同25%)を合算した控除上限(同35%)の引上げなどと訴える。また、オープンイノベーション型(OI型)については手続き要件の緩和などを訴えた。田村厚労相は、「非常に重要なことだと認識している」と応じた。田村厚労相は、「今後も素晴らしい医薬品が日本で開発されるように取り組んでいただきたい」と述べたという。
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