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医療用薬15製品 効能追加など承認取得 フォシーガに慢性心不全、オプジーボ併用療法にNSCLC1次治療

公開日時 2020/11/30 04:51
医療用医薬品15製品が11月27日、効能追加などの承認を取得した。この中には、SGLT2阻害薬として初となるフォシーガ錠(一般名:ダパグリフロジン)に慢性心不全の効能を追加することや、抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ錠(バロキサビル マルボキシル)にインフルエンザの予防投与を追加することが含まれる。

また、がん免疫療法薬オプジーボ点滴静注(ニボルマブ)に係る併用療法で非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療を追加することも今回承認された。オプジーボは今回、▽異なる作用機序の免疫療法薬ヤーボイ点滴静注液(イピリムマブ)との併用療法▽オプジーボ+ヤーボイに、プラチナ製剤を含む2剤化学療法との併用療法▽オプジーボと、プラチナ製剤を含む2剤化学療法との併用療法――の3つの用法で、いずれもNSCLCの1次治療から使えるようになった。

承認された製品は以下の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)

フォシーガ錠5mg、同錠10mg(ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、アストラゼネカ):「慢性心不全。ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。

SGLT2阻害薬。これまでの効能・効果は2型糖尿病と1型糖尿病。今回、2型糖尿病の合併の有無によらず、慢性心不全に対してβブロッカーやACE阻害薬などの標準治療に上乗せする形で使用できるようになった。慢性心不全の用法・用量は、「通常、成人にはダパグリフロジンとして10mgを1日1回経口投与する」。SGLT2阻害薬で慢性心不全の適応を持つのは同剤が初となる。

エベレンゾ錠20mg、同錠50mg、同錠100mg(ロキサデュスタット、アステラス製薬):「腎性貧血」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(2027年9月19日まで)。

HIF-PHD阻害薬と呼称するファースト・イン・クラス薬。これまでは「透析施行中の腎性貧血」に使えたが、今回、「透析施行中の」との文言を削除し、保存期の腎性貧血にも使えるようになった。HIF-PHD阻害薬は同剤のほかにバフセオ錠(バダデュスタット)やダーブロック錠(ダプロデュスタット)などがあるが、エベレンゾ以外の同阻害薬は全て透析期と保存期の両方の適応をもっていた。

ゾフルーザ錠20mg、同顆粒2%分包(バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬):「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2026年2月22日まで)。

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。予防投与も単回経口投与で用いる。ただし、耐性ウイルスの発現状況から、12歳未満かつ20kg未満の小児には使えない。また、既承認の同錠10mgにも予防投与の適応はない。

塩野義は、インフルエンザと新型コロナとの同時流行が懸念されていることに触れながら、「(インフルエンザは)ワクチン接種だけではウイルス感染や発症、重症化を完全に抑えることは困難」と指摘。その上で、「インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居者のうち代謝性疾患、慢性肺疾患などの基礎疾患を有する患者や、65歳以上の高齢者など、インフルエンザウイルス感染症罹患時に重症化のリスクが高いと判断される方では、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与はインフルエンザウイルス感染症予防の重要な選択肢になる」としている。

ラスビック点滴静注キット150mg(ラスクフロキサシン塩酸塩、杏林製薬):「肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変病変の二次感染」の呼吸器感染症を適応症とする新投与経路医薬品。再審査期間は残余(2027年9月19日まで)。

ニューキノロン系合成抗菌薬。細菌のDNA複製に必須のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに対する阻害活性を有する。錠剤があるなか、今回承認された注射剤は主に入院加療が必要な患者への投与が想定される。

テリルジー100エリプタ14吸入用、同100エリプタ30吸入用、同200エリプタ14吸入用、同200エリプタ30吸入用(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩、グラクソ・スミスクライン):「気管支喘息(吸入ステロイド剤、長期間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能・効果とする、テリルジー100は新効能・新用量医薬品。テリルジー200は新医療用配合薬。再審査期間は残余(2025年3月25日まで)。

汎用されている吸入ステロイド(ICS)、長時間作用性吸入抗コリン剤(LAMA)、長時間作用性吸入β2刺激剤(LABA)による3成分配合の吸入薬。これまで慢性閉塞性肺疾患(COPD)で承認されていた。なお、ICS/LAMA/LABAの3成分配合吸入薬で喘息適応を持つ薬剤にはエナジア吸入用があり、今回は2番手となる。

ルミセフ皮下注210mgシリンジ(ブロダルマブ(遺伝子組換え)、協和キリン):「強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。

ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体製剤。体軸性脊椎関節炎は、主に仙腸関節や脊椎・四肢の腱付着部に原因不明の慢性炎症をきたす進行性の自己免疫疾患。強直性脊椎炎とX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に大別される。同剤と同様の抗IL-17A抗体で同様の効能・効果を有する薬剤にコセンティクス皮下注とトルツ皮下注があり、ルミセフは3番手となる。

ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL、同80mgシリンジ0.8mL、同40mgペン0.4mL、同80mgペン0.8mL(アダリムマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):「壊疽性膿皮症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗TNFαモノクローナル抗体。同剤は世界初の壊疽性膿皮症治療薬となった。壊疽性膿皮症は急速に進行する有痛性、無菌性、壊死性の皮膚疾患。国内外で壊疽性膿皮症を効能・効果とする薬剤は承認されておらず、適応外使用の形で薬物治療が行われている。第一選択薬は経口ステロイドで、難治例に抗TNFα抗体製剤などの生物製剤の使用が考慮されている。

ビラフトビカプセル50mg、同75mg(エンコラフェニブ、小野薬品)
メクトビ錠15mg(ビニメチニブ、小野薬品)
:「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は両剤とも5年10か月。

ビラフトビはBRAF阻害薬。メクトビはMEK阻害薬。今回、BRAF遺伝子変異を有する結腸・直腸がんに対して、両剤に抗ヒトEGFRモノクローナル抗体セツキシマブを含む3剤併用療法が可能になった。なお、ビラフトビはセツキシマブとの2剤併用でも使える。

ゼローダ錠300(カペシタビン、中外製薬):「手術不能又は再発乳がん、結腸・直腸がん」で新用法を追加する新用量医薬品。公知申請。再審査期間なし。

フルオロシチジン誘導体。今回、▽手術不能又は再発乳がんでラパチニブトシル酸塩水和物と併用する場合にC法を使用する▽結腸・直腸がんでオキサリプラチンと併用する場合はC法を使用する▽治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんには他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法又はE法を使用する――を追加する。E法は今回新たに加わったもの。

サイラムザ点滴静注液100mg、同500mg(ラムシルマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「胃がん、結腸・直腸がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん」の既承認の適応で新用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余(2023年3月25日まで)。

ヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体。これまで60分かけて点滴投与していたが、初回投与の忍容性が良好な場合、2回目以降の投与時間を30分間まで短縮できることが追加された。

また、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)で、EGFR-TKIのエルロチニブまたはゲフェチニブと併用して使えることも追加された。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg、同120mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品) 
ヤーボイ点滴静注液50mg(イピリムマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
:両剤の併用療法などで、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の1次治療に使えるようになった。オプジーボは新用量医薬品。ヤーボイは新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(オプジーボは2021年10月16日まで、ヤーボイは24年6月20日まで)。

両剤ともがん免疫療法薬で、オプジーボはヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。ヤーボイは抗CTLA-4モノクローナル抗体。

今回、▽オプジーボ+ヤーボイの併用療法▽オプジーボ+ヤーボイに、プラチナ製剤を含む2剤化学療法との併用療法▽オプジーボと、プラチナ製剤を含む2剤化学療法との併用療法――のいずれでも非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療から使えるようになった。作用機序の異なる免疫療法薬の併用でNSCLCの1次治療に使えるようになったのは今回が初めて。また、オプジーボ+ヤーボイ+2剤化学療法の併用療法について、化学療法は3週間間隔で2サイクルのみ併用する。

ダラザレックス点滴静注100mg、同400mg(ダラツムマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2027年9月26日まで)。

ヒト型抗CD38モノクローナル抗体。初回投与時に16mg/kgを投与するが、投与時間が長いとの課題があった。そこで今回、初回は分割投与として、1回8mg/kgを1日目及び2日目に投与することが追加された。

カボメティクス錠20mg、同60mg(カボザンチニブリンゴ酸塩、武田薬品):「がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(2028年3月24日まで)。

AXL/MET/VEGFRキナーゼ阻害薬。VEGFR2などを介したシグナル伝達分子(細胞外シグナル調節キナーゼ等)のリン酸化を阻害することで、腫瘍血管新生及び腫瘍細胞の増殖を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。これまで根治切除不能又は転移性の腎細胞がんで承認されており、今回、肝細胞がんの効能が加わった。
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