厚労省 7製品の効能追加など承認 リンヴォックはnr-axSpAの適応持つ初のJAK阻害薬に
公開日時 2023/02/27 04:50
厚生労働省は2月24日、7製品の効能追加などを承認した。バイエル薬品のニュベクオ錠に「遠隔転移を有する前立腺がん」の効能が追加され、アッヴィのリンヴォック錠に「X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」(nr-axSpA)の効能が追加された。リンヴォックはnr-axSpAの適応を持つ日本初のJAK阻害薬となった。
このほか、ファイザーのプレセデックス静注液に「小児の非挿管での非侵襲的な処置及び検査時の鎮静」の効能が追加された。プレセデックスの今回の新規の小児適応は、2020年の改正医薬品医療機器等法での制度創設後、初めて特定用途医薬品として指定を受け、承認されたものとなる。
効能追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元。薬効分類順に記載)
▽プレセデックス静注液200μg「ファイザー」、同静注液200μg/50mLシリンジ「ファイザー」(デクスメデトミジン塩酸塩、ファイザー):「小児の非挿管での非侵襲的な処置及び検査時の鎮静」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。特定用途医薬品。再審査期間は5年10カ月。薬効分類:112。
選択的α2アドレナリン受容体作動薬。今回、生後1カ月以上を対象とした「小児の非挿管での非侵襲的な処置及び検査時の鎮静」の効能と用法が追加された。
同剤が指定された特定用途医薬品は、医療上のニーズが著しく満たされていない医薬品の開発促進を図るため20年9月に創設された制度で、小児や薬剤耐性(AMR)感染症の医薬品が対象となる。特定用途医薬品に指定された場合、PMDA相談や審査で優先的に扱われる。
▽①カロナール細粒20%②同細粒50%③同原末④同錠200⑤同錠300⑥同錠500⑦アセトアミノフェン錠200mg「マルイシ」⑧同錠300mg「マルイシ」⑨同錠500mg「マルイシ」(アセトアミノフェン、①~⑥あゆみ製薬、⑦~⑨丸石製薬):「各種疾患及び症状における鎮痛」を効能・効果とする新効能医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。薬効分類:114。
効能・効果について、22年8月に頭痛や耳痛などの個別の疾患名を列挙するのではなく「各種疾患及び症状における鎮痛」とする一変が公知申請され、この日承認された。
▽リンヴォック錠7.5mg、同錠15mg(ウパダシチニブ水和物、アッヴィ):「既存治療で効果不十分なX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2028年1月22日まで)。薬効分類:399。
JAK阻害薬。今回の効能追加により、同剤はX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)の効能を持つ日本初のJAK阻害薬となった。追加効能の用法・用量は、既承認の関節症性乾癬や強直性脊椎炎と同じく、「通常、成人にはウパダシチニブとして15mgを1日1回経口投与する」となる。
▽ニュベクオ錠300mg(ダロルタミド、バイエル薬品):「遠隔転移を有する前立腺がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2028年1月22日まで)。薬効分類:429。
経口アンドロゲン受容体阻害薬。今回の追加効能の用法・用量は、「ドセタキセルとの併用において、通常、成人にはダロルタミドとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」となり、ドセタキセルと併用して用いることになる。
ちなみに既承認の「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん」の用法・用量は、「通常、成人にはダロルタミドとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」となっている。
▽イムブルビカカプセル140mg(イブルチニブ、ヤンセンファーマ):「マントル細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余期間(2026年12月1日まで)。薬効分類:429。
BTK阻害薬。今回、未治療のマントル細胞リンパ腫の一変承認を取得した。これまでの効能・効果は「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」だったが、今回の一変承認により、効能・効果の記載は「マントル細胞リンパ腫」となった。
未治療のマントル細胞リンパ腫の用法・用量は、「ベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」となる。なお、既承認の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の用法・用量は「通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」となっている。
▽アメナリーフ錠200mg(アメナメビル、マルホ):「再発性の単純疱疹」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2025年7月2日まで)。薬効分類:625。
ヘルペスウイルスのDNA 複製に関与するヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を阻害することで、単純ヘルペスウイルス(HSV)及び水疱・帯状疱疹ウイルスに対して、抗ウイルス活性を示す。
今回追加した「再発性の単純疱疹」の効能・効果及び用法・用量は、初期症状を自覚した時点で服用するPIT(Patient Initiated Therapy)と呼ばれる治療法に用いるもの。再発性の単純疱疹の初期症状出現後6時間以内に、あらかじめ処方された同剤1200mgを食後に1回服用することで、早期の治療が可能となる。