小野薬品はこのほど、がん免疫療法薬・オプジーボ点滴静注について、「悪性中皮腫（悪性胸膜中皮腫を除く、以下「同」）」の効能追加に係る一変申請を行ったと発表した。同剤は、悪性中皮腫のうち悪性胸膜中皮腫の効能・効果は既に取得しており、今回は悪性中皮腫（悪性胸膜中皮腫を除く）の適応取得を目指して申請した。なお、厚労省から今回申請した追加効能に関して希少疾病用医薬品の指定を受けており、優先審査される。

悪性中皮腫は、胸腔、心嚢腔、腹腔、精巣鞘膜腔において体腔表面を覆う中皮やその下の結合組織の未分化な間葉細胞に由来する悪性腫瘍で、発生部位によって悪性胸膜中皮腫、悪性心膜中皮腫、悪性腹膜中皮腫、悪性精巣鞘膜中皮腫に分類される悪性腫瘍の総称のこと。

悪性中皮腫の国内の罹患者数は年間2283人と推計され、死亡者数は年間1605人（20年)と報告されている。悪性中皮腫の部位別の患者割合は、悪性胸膜中皮腫が85.5％と最も多い。悪性中皮腫の生存期間の中央値と平均値は7.7カ月および8.6カ月で、３年生存率と５年生存率はそれぞれ18.6％および9.9％と予後は悪い。

今回の申請は、兵庫医科大学病院主導の下、悪性中皮腫（悪性胸膜中皮腫を除く）を対象にオプジーボを評価した医師主導治験（VIOLA試験：HCM-002）の第２相臨床試験の結果に基づくもの。同社は本誌取材に、悪性中皮腫（悪性胸膜中皮腫を除く）の追加効能が承認された場合、適応症が悪性胸膜中皮腫を含む「悪性中皮腫」となるかどうかについて、「当局判断になる」としている。