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23年度薬価改定 臨時・特例的対応の不採算品再算定品目 流通・情報提供で対応行う企業も 本誌調査

公開日時 2023/03/08 04:52
ミクス編集部では、2023年度薬価改定で臨時・特例的な対応がなされた不採算品再算定について、各社にアンケート調査を実施した。不採算品再算定品目について、情報提供や流通上で特別な対応を行うか尋ねたところ、「する」と回答した企業は7社、「検討中」の企業は5社あった。「社内流通部門及び取引卸に不採算品再算定を受けたことを周知し、取引価格について過度の乖離を生じさせないように依頼していく」(先発、内資)など、流通上の対応を行うとの声もあった。一方で、「対応しない」と明確に回答した企業も4社あった。

アンケート調査は、薬価基準改定の官報告⽰⽇(23年3⽉3⽇)の20時までに回答のあった製薬60社(内資系39社,外資系16社、ジェネリック5社)からの回答を基に集計した。

不採算品再算定は、急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するために23年度薬価改定で臨時・特例的に実施された。編集部の集計によると、23年度薬価改定で実施された臨時・特例的な不採算品再算定の各社へのプラスの影響度は高く、ツムラ、ニプロが、富士製薬の3社が薬価改定後に逆に“プラス”の影響が出たと回答している(関連記事①)。

対象となった製品は安定確保医薬品や基礎的医薬品など、安定供給を求められることから、厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は3月3日、関係業界に「今回の不採算品再算定が実施された趣旨に鑑み、これら医薬品が適正な価格で流通するよう」周知を求める事務連絡を発出している(関連記事)。購入側には不採算品再算定品目が明確にわからないことから、単品総価での取引がなされていることも多い。さらに、4月の薬価改定を前に不採算品再算定の適用品目に対する駆け込み需要なども指摘されており、流通上の混乱も懸念されている。

◎不採算品再算定40品目適用のツムラ「不採算品再算定の説明を継続」

ミクス編集部が不採算品再算定品目についてプロモーションや流通、情報提供などでの対応を尋ねたところ、「対応する」と回答したのは7社。40品目の不採算品再算定を受けたツムラは、「現制度では弊社が新製品(漢方)を出せないこと、天然物である生薬を原料としていること、不採算品目があることについて関係者へご理解いただくための説明を継続していく」と回答。このほか、「不採算品再算定の対象品目である点を踏まえた適正価格での取引を要請」(先発・内資)、「今回の特例対応に限らず、例年通り、特約店に対して、適正な価格でお取引いただくお願いを実施する予定」(後発)との回答が寄せられた。

「検討中」とした企業は、「不採算品であることについては、適切に情報提供していきたい(EAファーマ)、「販売促進のための積極的なプロモーションは行わないが、患者さんと医療機関にとって不可欠な製品であり、安全性や品質情報の収集・提供は製薬企業にとって重要な活動と考える。よって適切な情報提供活動の方法や体制を模索中」(大塚製薬)との回答があった。

◎不採算品再算定品目の安定供給フォローアップ 具体的内容求める声も

不採算品再算定について厚労省は、「安定供給を製薬企業に求めるとともに、そのフォローアップを実施する」としている。これに対しての所感を尋ねたところ、「従前より製品の安定供給は製薬企業の責務と考え、在庫コントロールや生産計画について柔軟に対応しているところであり、具体的内容は不明だが企業がなすべきフォローアップに対しても同様に対応をしていく」(先発・内資)、「保険診療において安定供給は義務であり、製薬企業の役割として重く受け止めたい」(先発・内資)、「該当品目については供給が途切れることないようしっかりと取り組んでいきたい」(先発・内資)、「今回、特例的に不採算品再算定が適用された医薬品に限らず、製薬企業に対して安定供給が求められるのは当然であり、むしろ、それができない企業は医療用医薬品を扱うべきではない」(先発・内資)など、安定供給に注力するとの回答が寄せられた。

一方で、「場当たり的な対応ではなく製薬企業の義務である安定供給が持続可能な制度設計をお願いしたい。現状ではフォローアップの内容が不明であり、対処のしようがない」(先発・内資)、「安定供給に関しては念書まで書かせており、少しやり過ぎ」(先発・外資)、「安定供給問題への措置のため念書を提出させる意図は理解できるが、薬価がどの程度引き上がるかを提示いただいた後に念書提出の判断という順序が妥当。具体的なフォローアップなど不明点が多い印象」(先発・内資)などの声もあった。

このほか、「指示された場合は、適切に対応する」(先発・内資)、「従来から安定供給に取り組んでおり、特に意見等はない」(先発・内資)との声も複数あった。

◎不採算品再算定の特例 今後も継続を求める声が複数 不採算は解消しないとの声も

不採算品再算定の臨時・特例適用については一定の評価をする声があった一方で、継続的な運用を求める声が複数寄せられた。「不採算品再算定は非常に要件の厳しいルールだが、今回の不採算品再算定では、急激な物価高騰や為替変動を踏まえ、要件を緩和した迅速な対応がとられたことは評価する。今後も状況を踏まえたタイムリーな対応を実施いただきたい。また、原薬等の購入契約は短期間で変更できず、タイムラグを経て影響が出る品目も多いため、今後の影響も踏まえた恒久的な制度の検討をしていただきたい」(先発・内資)、「中間年改定での特例措置は大変ありがたい反面、申請満額まで薬価が引き上がらず引き続き不採算状態の品目があること、物価高は継続しており、さらなる不採算品が発生する可能性が高いことを踏まえ、継続的な対応をお願いしたい」(先発・内資)、「毎年の薬価改定により、今後も不採算が発生する見込み。今後も同様の措置を希望」(先発・内資)、「今般の物価高騰を踏まえ不採算品再算定が臨時・特例的に実施されたことは一定の評価ができる。しかしながら、一時的な対応と認識しており根本的な不採算の解決の手段については今後検討を重ねる必要がある」(先発・内資)などの声が寄せられた。

このほか、「特例的に不採算品再算定が適用されたものの、希望額に到底届かない措置であり、不採算を解消する十分な措置とはいえない印象だった。一方、市場規模の大きい品目についてはビジネスへの影響が大きいことから、今改定にて不採算品再算定が適用されたことは評価に値する」(先発・内資)、「結局は不採算の解消にはなっていない」(先発・外資)との指摘もあがった。

ジェネリックメーカーからは、「急激な原材料費等の高騰に対してスピーディーな対応をしていただき大変良かった。ただ、同成分の製品で薬価のバラツキが大きくなることの影響がどのように出るのか気になっている」(後発)との声もあった。

Monthlyミクス4月号では、2023年度薬価改定について、このほかの質問に対する各社コメントを含め、詳報予定。




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