ファイザー 組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチンを承認申請 厚労省からの開発要請品目
公開日時 2023/03/30 04:50
ファイザーは3月28日、成人用及び小児用の組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチンを承認申請したと発表した。ダニ媒介性脳炎の発症を予防する。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で医療上の必要性が高いと評価され、ファイザーが厚労省から同ワクチンの開発要請を受けて開発した。同ワクチンは欧米を中心に広く承認されている。
今回の申請は、この開発要請を受けて実施した国内第3相試験の結果等に基づく。同試験は、16歳以上の日本人健康成人および1歳以上16歳未満の日本人小児を対象に、同ワクチン2用量(成人用0.5mL、小児用0.25mL)の安全性および免疫原性を評価する多施設共同、単群、非盲検試験。
ファイザーR&D社の石橋太郎社長は、「ダニ媒介性脳炎に対する有効な治療法はないため、ウイルスに感染する可能性のある地域の居住者と本疾患の流行地域に渡航する人は、その予防が重要」だとしている。
ダニ媒介性脳炎は重度の急性臨床経過をたどり、罹患期間が極めて長い急性ウイルス性疾患。日本脳炎と同様にフラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスであるダニ媒介性脳炎ウイルスによって引き起こされ、英国、ノルウェー、フランス、ドイツ、ロシアを含むヨーロッパや、中国や日本を含む東アジアのマダニ保有動物の分布地域で重要な感染症。
ダニ媒介性脳炎は、世界で毎年1万から1万5000件報告されている。日本ではこれまでに北海道で5例報告されているが、感染の確定診断用の検査キットが利用できないなどの理由から、国内におけるダニ媒介性脳炎の実態はまだ十分に把握されていない。