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【中医協総会 12月27日 議事要旨 個別事項(その22)、いわゆる敷地内薬局についての質疑】

公開日時 2023/12/28 05:59
中医協総会は12月27日、個別事項(その22)として、「いわゆる敷地内薬局について」をテーマに議論した。本誌は個別事項(その22)として議論した、①医療安全について、②訪問看護ステーションの管理者について、③いわゆる敷地内薬局について-のうち、敷地内薬局をめぐる診療・支払各側の発言のみを抜き出して、議事要旨として公開する。

(※事務局説明は略)
(※各委員の発言のうち、敷地内薬局以外の個別事項に関する発言は略)

小塩会長:はい、ありがとうございました。それではただいまの説明につきましてご質問等ございましたらお願いいたします。最初に長島委員お願いいたします。

長島委員:(略)

小塩会長:はい、ありがとうございました。続きまして太田委員お願いいたします。

太田委員:(略)

小塩会長:はい、ありがとうございます。続きまして森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。敷地内薬局についてコメントさせていただきます。これまでの改定において、診療報酬、調剤報酬で対応されましたが、その後も誘致、開設が止まらない状況です。薬局はもちろん、誘致する医療機関側にも問題があり、公募の際、薬局運営とは関係のない病院のアメニティ施設や診療棟などの建設の整備などを条件としている事例が散見されています。

誘致する医療機関側、応募する薬局側の双方において、これ以上敷地内薬局が出てこないよう、これまでとは異なる強い対応が必要です。そのため今回の論点にも示されている通り敷地内薬局を有する医療機関についても対応が必要と考えます。

また、業界誌報道によれば、家賃以外に保証金を数億円支払い、保証金の返金は受けないという契約を結んでいるものなどリベートに当たる恐れがあるものや、病院の出入口の玄関マットで敷地内薬局へ誘導するようなものなど不適切な事例が報告されています。

敷地内の開設が認められているからと言って、このようなビジネスモデルの関係性が良いということではありません。健康保険法や医療機関と薬局双方の療養担当規則や、その運用の見直しも不可欠ではないかと考えます。例えば運用に関しては、新規指定時には厚生局において誘致条件、契約内容を確認し、特に土地建物の賃貸借料については相場と比較した上で、保険医療機関と保険薬局の独立性が確保されていることを確認し、不適切な場合は開設を許可しないなどの対応をとるべきです。

これについては既に開局している敷地内薬局についても同様であり、指定の更新時にこれらを確認し、不適切な事案については取り消しを含めて厳正な対応ができるよう、根拠となる関係省令や文書の整備を進めることをお願いします。

その際には、現在の療養担当規則では患者の誘導という観点の規定となっていますが、資料31ページ目(いわゆる敷地内薬局における特別な関係を有する医療機関からの処方箋受付割合)でも示されている通り、敷地内薬局は相当高い処方箋集中率を示す傾向がありますので、直接的な誘導だけではなく、医療機関の敷地内にあるという特殊性を踏まえて、広い視点からの検討が必要と考えます。

その中の一つとして敷地内薬局の評価がありますが、これに関して、院内の調剤と同程度の機能ということであれば、例えば医療機関では多剤投与の場合に薬剤を減額する規定がありますので、同様の調剤においては、敷地内薬局での薬剤料も院内調剤と同じ評価とすることも考えられると思います。

また、今後整理すべき点として、資料27ページ目(調剤基本料別の費用・調剤医療費の内訳)で示されている通り、敷地内薬局の収益構造は、医薬品の費用が突出している構成となっており、現在流通改善に係る検討会では、過度な薬価差、薬価差の偏在に関する課題が指摘されています。

このような敷地内薬局の医薬品購入の状況も今後分析する必要があると考えます。流通改善については流改懇での議論が先日取りまとまり、流通改善ガイドラインの改訂が今後予定されておりますので、それに合わせた対応も必要と考えます。

最後に敷地内薬局については、今回の改定において、広い観点で厳正に対応すべきですし、それ以降も継続して検討課題にすべきです。場合によっては、関係者、関係団体を中医協の場に呼んで意見を聞く機会も必要かもしれません。私からは以上です。

小塩会長:はい、ありがとうございました。よろしいですか。はい、それでは松本委員お願いいたします。

松本委員:はい、ありがとうございます。(一部略) 続きまして32ページの敷地内薬局に関する論点についてコメントいたします。2年前にも同じことを指摘いたしました。敷地内に薬局を有する医療機関については、実質的に院内処方と同様に取り扱うべきです。

資料31ページ(いわゆる敷地内薬局における特別な関係を有する医療機関からの処方箋受付割合)を見てみますと、特別調剤基本料を算定する薬局の9割で、特別の関係にある医療機関からの処方箋が8割を超えております。これは薬局の独自性という観点で問題ですが、裏を返せば薬局と医療機関の一体性が示されているということですので、医療機関としては院内処方に近い実態にありますので、処方箋料を処方料と同程度の水準まで減額することが考えられます。

ただ、以前にも発言いたしましたが、敷地内薬局がいわば既成事実化していることを踏まえますと、医療機関が薬局を誘致する背景を踏まえて、令和8年度改定に向けて少し根本的な議論をした方が良いと感じております。

資料27ページ(調剤基本料別の費用・調剤医療費の内訳)に一部紹介がありますが、医療経済実態調査の結果からも、敷地内薬局は医薬品費と土地建物賃借料が突出して高いにもかかわらず、令和3年から4年にかけては利益率が増加しているということがわかっております。

また保険財政に影響があることなので、今後参考のため、森委員が先ほどご指摘ございましたけれども、流通改善の検討状況について事務局に教えていただきたいというふうに思います。私からは以上でございます。

小塩会長:先ほど松本委員からご質問がありましたけれども、事務局いかがでしょうか?

事務局:薬剤管理官でございます。流通関連のご質問に関しまして担当部署は別になりますけども把握している範囲で回答いたします。流通関連の検討は先ほど森委員からお話がありましたが、先週、流改懇が開催されまして、流通改善ガイドラインの改訂のための議論が行われております。

薬価に関連する改訂内容としては、医薬品の安定供給を確保する観点から、特に医療上の必要性が高い医薬品として基礎的医薬品、あるいは安定確保医薬品のカテゴリーA、不採算品再算定品などは価格交渉の段階から別枠として個々の薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とすること。これまで単品単価交渉を行うとされた新薬創出加算品等についても引き続き単品単価交渉を行って、流通改善が後戻りすることのないようにすること。またその他に、頻繁な価格交渉を避けるために、年度内は妥結価格の変更を原則行わないこと。

卸との価格交渉を代行業者に依頼するものは代行業者に流通改善ガイドラインを遵守させるように注意すること。そういったことをガイドラインに明記する案を示しておりまして、薬価制度改革について中医協で議論する中で今後の検討課題とされた医療用医薬品の適正な流通のために改訂する内容になっているものでございます。

今後、改定案につきましてはパブリックコメントをした後に今年度内にガイドラインを改訂する予定と担当部署の方から聞いているところでございます。

また流通改善ガイドラインの改訂の他に、流通関連では過度な薬価差に関する課題もございます。これは引き続き継続検討とされているものでございます。このあたりは元々販売先のカテゴリー別のデータで20店舗以上のチェーン薬局のカテゴリーの薬価差額が、他の薬局や医療機関のカテゴリーと比較して大きくなっていることが指摘されていることがありますが、実際には個々の薬局や医療機関の購入希望など、あと開設者やグループによってもあるかもしれませんが、薬価差の状況が異なると思いますので、今後こういったものが把握可能なデータ次第ではありますが、今回のような敷地内薬局の実態も含めながら整理すべき課題ではないかと考えているところでございます。以上です。

小塩会長:松本委員いかがでしょうか?

松本委員:ご説明ありがとうございました。敷地内薬局に関する検討においては、いま言及のありました薬価差に関する分析も必要だというふうに考えました。流通ガイドラインの内容を徹底されるよう診療報酬においても改定の考え方が反映されるよう、適切に対応をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

小塩会長:はい、ありがとうございます。他はいかがでしょうか。鳥潟委員お願いいたします。

鳥潟委員:皆様と同意見ですが、あえて強調させていただきたいと思います。敷地内薬局については特別調剤基本料による対応にも限界があることや、患者の受け止めを踏まえれば、グループ薬局全体として調剤基本料引き下げることは無論、敷地内薬局を有する医療機関の処方を院内処方と同程度の評価とする方向で検討していただきたいというふうに考えております。以上です。

小塩会長:はい、ありがとうございました。長島委員お願いいたします。

長島委員:このいわゆる敷地内薬局について、関連することで事務局に確認させてください。患者さんが処方箋を持って、どこの薬局に行くかは患者さんの自由な選択により、医療機関は介入できないと認識しておりますが、この考え方に変更はありますでしょうか?

小塩会長:事務局いかがでしょうか?

事務局:医療課長でございます。いま長島委員からご指摘ありましたように、患者さんが処方箋を持たれてどの薬局を選べるかは自由でございます。

小塩会長:ありがとうございます。太田委員お願いいたします。

太田委員:今回の論点に関して直接言及しませんが、様々な病院で敷地内薬局が開設されているということは私自身認識してございます。特に大学病院等で開設しているところもございますし、公立の大規模な中核病院で開設しているところがございます。

そういう意味で、そういう病院が駄目な病院なのかというものに関して言うと、正直私ども病院団体の中でも様々議論が現実にございます。いま現在認められている制度の中でいろいろと医療機関として厳しい経営環境の中、対応してきたというような形で主張される先生方も現実にはいらっしゃいます。

そういう意味では、先ほど松本委員の方から令和8年度の次期改定に向かってこの問題を根本的に考えはどうかというようなご発言ありましたが、診療報酬の支払制度を検討する場ではなく、やはりこれは厚生労働省として、国として敷地内薬局というものはどういうような形で位置づけるものなのかというものをしっかりと検討していただいて、我々の診療報酬は、その大きな医療政策の方向にベクトルを合わせて制度を整備していくものだというふうに思っております。

医療機関側からしても予見可能性というものが非常に確保しづらい中で、様々な対応を迫られている医療機関、病院もございますので、是非この辺をしっかり国として、厚生労働省として対応いただきたいというふうに思っております。以上でございます。

小塩会長:ありがとうございます。オンラインで佐保委員の手が挙がっています。お願いいたします。

佐保委員(略)

小塩会長:はい、ありがとうございました。

高町委員:(略) 

小塩会長:ありがとうございました。続きまして江澤委員お願いいたします。

江澤委員:(略)

小塩会長:はい、ありがとうございました。先ほど長島委員から木澤専門委員のご意見も伺ってはどうかというようなご要望ございましたので、木澤専門員お願いいたします。

木澤専門委員:(略)

小塩会長:はい、ありがとうございました。事務局からお願いいたします。

事務局:(略)

小塩会長:続きまして安川薬剤管理官お願いします。

事務局:薬剤管理官でございます。敷地内薬局に関しまして、根本的な議論とかそういったご指摘もありました。現状だけご説明させていただきます。今回こういった敷地の薬局が増えている現状の元々のきっかけは、保険制度の中の構造規制の緩和、いわゆるフェンス規制を平成28年に緩和したことで敷地内に薬局が開設しやすくなったことの結果でこういった事象がいろいろ起こっているというようなこと認識をしております。

そういった中で様々な医療機関と薬局の独立性がどうかとかいろいろ課題があるということをご指摘しているところでございます。一方、薬局としてどうかという話の中のそもそも論のところに関しまして、これは薬機法の世界の中で薬局のあり方の議論の中で敷地内にある薬局はどうかというところは課題として挙げられております。

こういった実態も把握しながら医療機関との関係性といった懸念を示す意見も医薬局の検討会でも課題として出ているというものでございます。いずれにしても薬機法などの衛生規制というよりかは、こちらは医療保険制度における医療機関と薬局の独立性のところが重要になってくると思いますので、基本的にはこういった保険制度の中で薬局のあり方を整理していくべきだと思います。実態分析も医薬局で行っていると認識しておりますので、そういった情報も含めながら何ができるかを考えたい。引き続き検討すべきものなのかなと思っているところでございます。

小塩会長:ありがとうございます。他よろしいでしょうか。他にないようですので、本件にかかる質疑はこれで終わります。
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