自民党合同会議 創薬力構想会議の検討状況を確認 製薬協・上野会長ら参考人のプレゼン経て論点整理へ
公開日時 2024/03/05 04:51
自民党の社会保障制度調査会「創薬力の強化育成に関するPT」と科学技術・イノベーション戦略調査会、医療分野の研究に関する小委員会の合同会議が3月4日開かれ、内閣官房の「創薬力の向上により国民に最新の医療を迅速に届けるための構想会議」の進捗状況について報告を受けた。創薬力構想会議は過去2回会合を開いており、次回第3回(3月7日開催予定)で製薬協の上野裕明会長ら複数の参考人によるプレゼンテーションを予定している。その後、第4回(4月開催)で論点整理の骨子、第5回(5月開催)で中間とりまとめ案を議論する方向を報告した。出席議員からは、創薬エコシステムの育成に期待感が示される一方で、「産業構造の再編を含めて戦略として考えておくべき」などの意見があった。
この日の合同会議には、社会保障制度調査会の加藤勝信会長、創薬力強化PTの橋本岳座長、医療分野の研究に関する小委の古川俊治委員長が顔を揃えた。一方、省庁側も、内閣官房、厚労省、経産省、文科省の各担当者が出席した。会議冒頭あいさつした古川委員長は、「国際治験の環境整備やベンチャーの出口戦略などの課題、あるいはジェネリックの薬価が安すぎて、なかなか創薬が進まない」など様々な指摘があるとし、「(創薬環境と保険薬価の)双方が司令塔として機能し、2つの車輪となって連携できるような議論を期待している」と述べた。
◎次回第3回の構想会議は外部参考人によるプレゼンテーションを予定
創薬力構想会議は、第1回の会合が昨年12月27日に、第2回が2月8日に開催され、それぞれ構成員によるプレゼンテーションが行われた。次回第3回は、製薬協の上野会長のほか外部参考人によるプレゼンテーションが予定されている。これを経て4月に開催予定の第4回では、構成員の意見の整理・追加の意見を聴取し、論点整理の骨子について議論。5月に開催する第5回で中間とりまとめ案について議論する方向を、この日の合同会議に示した。
◎大野調査会長「産業政策を一番手にやるべきだという意見が多かった」
合同会議後に記者団の取材に応じた大野敬太郎科学技術・イノベーション戦略調査会長兼創薬力強化PT事務局長は、「産業政策をしっかりしなさいというご意見が多かったように思う」と指摘。「中心的な課題はエコシステムをどう回していくのかだ。そのために構想会議ができた。当然、産業政策を一番手にやるべきだという意見が多かった」と語った。
一方でエコシステムをめぐっては様々な意見があったという。「民間が回っていかないとどうしようもない」、「会社自体が産業構造の再編を含めて戦略として考えておくべきなのではないか」などだ。大野調査会長は、「我々としては望ましい戦略のあり方をまず描かないと、そこに向かって進めない。それは極めて重要な指摘だと申し上げたい」と強調した。「(構想会議は創薬エコシステムを)回すために作ったものなので、単に役所がやりたいことをやりますでは全然意味がない。そもそも日本は会社の資本が欧米に比べて薄い。リスクは相対的にとれない環境にある。外資とどう連携かを考えていかないといけない」と指摘。「産業政策と海外との政策連携、あと危機管理政策を考えないといけない。例えば、どこかでサプライチェーンが切れた時にある点において出来ないよねってなった時の司令塔を考えておかないと大変なことになる。そこまで考えましょう、ということだ」との見解を示した。