厚科審・制度部会で日薬連 ICTやDXの進歩踏まえ「GVP省令におけるMRのあり方」検討を要望
公開日時 2024/05/17 04:50
厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は5月16日、次期薬機法改正に向け、日本製薬団体連合会(日薬連)など関係団体からヒアリングを行った。日薬連は、「GVP省令における医薬情報担当者(MR)のあり方」についての検討を求めた。薬機法では、「医療機関への訪問」が前提となっているが、デジタルが浸透する中で、「時代に合った見直し」を求めた。日本薬剤師会は、医薬品の安定供給・品質確保の重要性を指摘したうえで、「製造販売業者の責務として、安定供給、品質確保に係る取り組みの義務づけ」を検討することを求めた。
◎RMPの法的位置づけの整理求める
日薬連は、薬機法改正に向けて、安全対策の充実、効率化に向けた取り組みの必要性を強調。中濱明子委員(エーザイ執行役)は、「ICT、DXの進歩を踏まえ、MR活動は実質医療機関への直接訪問だけではなくなってきている。GVP省令における医療機関等への情報提供のあり方について、時代に沿った見直しも必要ではないか」と提案した。GVP省令では、「医薬情報担当者とは、医薬品の適正な使用に資するために、医療関係者を訪問すること等により安全管理情報を収集し、提供することを主な業務として行う者をいう」とされている。このため、「医療機関への訪問が前提となっている」と指摘。「訪問以外の方法で医療情報提供等させていただいているので、そういった部分を反映していただきたい」と要望した。
また、緊急承認や条件付き承認制度の導入などで、市販後安全対策の重要性は増す中で、RMP(医薬品リスク管理計画)の法的位置づけを整理することを求めた。「RMPの薬機法における法的位置づけを整理し、医薬品の開発段階承認審査時から製造販売後までの全ての機会において、リスクに応じた必要な安全対策を実施し、製造販売後の安全確保を図る制度となるよう要望する」と述べた。
◎製造管理者要件の見直しを 薬剤師以外に拡大求める
安定供給・品質事案の再発防止に向けた取り組みの必要性も指摘。製造所のガバナンス強化の観点から、製造管理者要件の見直しも求めた。現行制度では、薬剤師が要件となっているが、「品質事案の第三者報告等では、製造管理者のガバナンス能力に対する指摘もある。薬剤師に加え、医学、薬学部、医学、工学、農学等の自然科学分野の幅広い人生の中から、技術に合致した最適な人材を製造管理者指名できる」よう、要望した。
ドラッグ・ラグ/ロス解消に向けて、「予見可能性が高く国際整合性の高い合理的で効率的な研究開発、製造承認申請および変更手続きが行える制度の構築」も要望。「中等度変更」を新たなカテゴリーとして法的に位置づけることや、GMP適合性調査などで品目単位ではなく、リスクベースでのアプローチを取り入れることなど、国際整合性を踏まえた制度の見直しを訴えた。
◎日薬「製造販売業者の責務として、安定供給、品質確保に係る取り組みの義務づけ」検討を
日本薬剤師会も、医薬品の安定供給とドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けた制度改正を求めた。森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「製薬企業が取り組むべき事項を実現できる企業体制としてガバナンスが必要になってくるのではないか」と指摘。「そうしたことを担保する都道府県における薬事監視体制の強化が必要だ。医薬品は品質の確保、安定供給が前提であり、製造販売業者の責務として、安定供給、品質確保に係る取り組みの義務づけを検討することも必要ではないか」と指摘した。
◎FIRM 自家細胞加工製品の規格外品 治療アクセス確保で「例外規定」の検討求める
このほか、再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)は、CAR-T細胞療法など自家細胞加工製品の規格外品について、薬機法上に「例外規定」を設けることについての検討を求めた。致死的で重篤な疾患・状態にあり、他に治療選択肢のない患者に対し、医師・患者からの要請を受けた場合に限り、治療を目的とした自家細胞加工製品の規格外品の提供を可能とする改定を要望した。
再生医療等製品の適用となる患者は、重篤な状態であるケースが多いと指摘。こうした患者では、「再度細胞採取して製造することができない、あるいは再製造中に容体悪化等により死亡に至ってしまうこともある。患者にとっては唯一の治療選択肢のある製品が規格外となって使用できないとなると、治療機会が失われてしまう」(北脇弥生・再生医療等製品委員会委員長)と説明し、治療アクセスを確保するための法改正を訴えた。