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コラテジェン申請取下げ アンジェスの対応に中医協支払側・松本委員「極めて遺憾」 医療保険制度を翻弄

公開日時 2024/07/04 04:52
条件及び期限付き承認が取り下げられた再生医療等製品・コラテジェンをめぐり、中医協支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は7月3日の中医協総会で、製造販売元のアンジェスの対応に疑義を示し、「これまで公的医療保険でカバーしてきたことを考えると、医療保険制度をある意味翻弄するものであり、極めて遺憾であると言わざるを得ない」と断じた。アンジェスは市販後調査で国内第3相臨床試験成績を再現できずに製造販売承認申請が取り下げたが、それを公表するプレスリリースの中で米国での臨床試験の「良好な結果」を強調。「コラテジェンの対象患者層の拡大が見込める」などとして、“開発販売戦略の変更”であることを強く打ち出していた。この日の中医協では、条件及び期限付き承認の「薬価のあり方」について議論する必要性を指摘する声が診療・支払各側からあがった。支払側からは、保険外併用療養費制度の導入を求める声もあがり、早くも26年度薬価制度改革の論点として焦点が当たった。

◎コラテジェンは薬価削除へ「薬価削除前も保険診療上の使用は差し控えを」

コラテジェンをめぐっては、「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能として、有効性を推定できるとされ、2019年3月に条件及び期限付き承認を取得した。条件及び期限付き承認制度では市販後データとして有効性、さらに安全性などの必要なデータを揃えて再度承認申請をしなければ承認が失効する。同剤の場合はデータを収集する期間が5年を期限とされており(期限日:24年3月31日)、アンジェスは10か月間前倒しした23年5月31日に再申請。しかし、市販後調査で、国内第3相臨床試験成績を再現できなかったとして、今年6月24日に、「開発販売戦略の変更」の一環として申請取下げを発表。6月27日に申請が取り下げられていた。

厚労省保険局医療課は中医協に、コラテジェンが薬価削除となることを通知したことを報告した。「薬価基準等の一部改正については、目下準備を進めている」としている。また、速やかに回収措置が講じられるとして、「薬価基準からの削除の前であっても、保険診療上、その使用を差し控えられたい」と求めた。

◎薬事での結論前に企業側意向で取下げ 制度上は「許容」 薬食審で正式議論もされず

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「薬事の結論が出る前に、企業の意向で取り下げるという対応が行われることも制度上は許容されているのか」と質した。厚労省医薬局の高江慎一医療機器審査管理課長は「申請者の自主的な判断により行われるものだと認識しており、本制度においても許容されている」と説明した。「申請がすでに取り下げられてしまった以上、薬事審議会で正式に議論する場は設けられないことになる」とも述べた。

◎アンジェス「開発販売戦略の変更」をアピール 取下げ経緯は触れずに分析中のフェーズ2が「良好」

取下げを前にした6月24日付でアンジェスは「HGF 遺伝子治療用製品・コラテジェンの開発販売戦略の変更に関するお知らせ」と題したプレスリリースを発出した。プレスリリースは、米国での後期第2相臨床試験の「良好な結果」を強調。「この結果を踏まえて、これまでの重度のみの患者を対象とした条件付き期限付き承認を一旦取り下げ、重症度を問わず幅広く閉塞性動脈硬化症患者の潰瘍の治療を対象として新規申請を行うことを決定しました。これに伴い、コラテジェンの対象患者層の拡大が見込めます」-との書き出しから始まっている。なお、「良好な結果」とした後期第2相臨床試験については、「結果の詳細については、現在分析中」としている。

一方で、条件及び期限付き承認の取下げについては、「非盲検下で実施した市販後調査では、二重盲検の国内第Ⅲ相臨床審成績を再現できなかったことから申請を一旦取り下げた」とするにとどめ、新たな申請の準備中であることを強調。取下げに至る経緯には触れられていない。

◎支払側・松本委員「回収するから問題がないというような対応には疑問を感じる」

支払側の松本委員は、「コラテジェンの薬価基準からの削除については薬事制度に連動した対応ということで理解するが、企業からこの間の経緯や理由の説明が一切なく、プレスリリースを拝見したところ、“戦略の変更”という言葉で片付けられている。回収するから問題がないというような対応には疑問を感じる。これまで公的医療保険でカバーしてきたことを考えると、医療保険制度をある意味翻弄するものであり、極めて遺憾であると言わざるを得ない」と断じた。

そのうえで、「患者に新しい治療選択肢をなるべく早く届けるという条件及び期限付き承認制度そのものを否定するものではない」と断ったうえで、「有効性が推定され安全性が認められた場合に、いわば仮免許であっても薬価についてはしっかりした評価になっている」と指摘。同剤は、4mg1.6mL1瓶60万360円。2回投与する必要があることに触れ、「薬事の段階でしっかり審査を行い、今回のようなケースが起きないようにお願いしたい」と釘を刺した。

◎条件及び期限付き承認の薬価、あり方検討求める声あがる 保険外併用療養費制度導入検討も

条件及び期限付き承認を受けた再生医療等製品の薬価のあり方についても議論があった。支払側の松本委員は、プログラム医療機器の二段階承認制度で第一段階承認では評価療養が導入されていることに触れ、「患者さんに迅速に新製品を届けるという観点ではこうした運用も参考にしていただき、条件付き承認の場合の対応を検討することも十分にあり得る」との考えを表明した。

6月21日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」では、再生医療等製品について、「希望する患者が保険診療の対象となるまで待つことなく利用できるよう、保険診療と保険外診療の併用を認める保険外併用療養費制度の対象範囲を拡大する」と明記されている。松本委員は、「国の方針を踏まえ、条件及び期限付きで承認された再生医療等製品については、次回改定(26年度改定)に向けて、そのあり方や運用方法を議論すべき」と述べた。診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も、「今回のような条件および期限付承認された品目の取り扱いも含め、検討が必要」との考えを示した。

診療側の長島委員は、「これからしかるべき場所でしっかりと検討していくこと。まだどうこうというレベルではない」とすぐに反発した。

厚労省保険局医療課の安川孝志薬剤管理官は、24年度薬価制度改革の骨子では、「医薬品の例により対応する再生医療等製品も含め、新規モダリティ等の類似薬がない革新的新薬における薬価上の適切なイノベーション評価の在り方等について、次期薬価改定に向けて検討を進めることとする」と明記されていることを紹介。「条件及び期限付き条件承認された事案について、いただいた指摘も踏まえて課題について検討していきたい」と応じた。


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