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厚労省・制度部会 安定供給責任者など法整備の必要性認める声あがる 薬機法改正へ12月にも取りまとめ

公開日時 2024/09/13 04:52
厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は9月12日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に、「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(安定確保会議)」での議論を報告した。安定供給責任者の設置など、安定供給確保に向けた製薬企業の体制整備について法令上の義務化について委員からは必要性を認める声があがった。今後は、安定確保会議で議論を進め、11月に再度、制度部会で議論する予定。制度部会では、医薬品医療機器等法(薬機法)改正に向けて議論を進めており、12月を目途に取りまとめを行う方針。ただ、安定供給の法規制について、水谷忠由医薬産業振興・医療情報企画課長は、どの法律に規定するか明言を避け、「今のところオープンな形で議論いただいている」と述べるにとどめた。

安定確保会議では、医薬品の安定供給に向けた、“マネジメントシステム”の一環として、安定供給責任者の設置を法令上義務化し、製薬企業の安定供給体制確保に向けた体制整備や、供給不安報告・供給状況報告を法令上位置付けること、安定確保医薬品を法令上に位置づけて供給不足の恐れがある場合に措置を講ずることができるようにすることなどが検討されている。

今回、薬機法改正に向けた議論を進める制度部会にこれまでの議論を報告し、俎上にのぼったが、水谷課長は、どの法律に規定するか、明言を避けた。「今のところオープンな形で議論いただいている。一般論として申し上げれば当然、医薬品の品質、有効性、安全性が確保された医薬品を安定的に提供する関連規制ということであれば薬機法、広く医療提供の中でと考えれば医療法という考え方もあろうかと思う。いずれにしても、引き続き整理する」と述べた。

◎茂松委員「安定供給責任者が役割発揮で平時、有事に適切に対応を」

委員からは、安定供給をめぐる法規制の必要性を認める声が相次いだ。茂松茂人委員(日本医師会副会長)は、「マネジメントシステムの構築は、厚労省提案の通り。ただ、サプライチェーンの強靭化は国の問題であろうと思う。医薬品は命にかかわるものなのでしっかり対応していただきたい。安定供給責任者を生かしていくのが一番重要だ。その役割をしっかりして、平時、有事に適切に対応できるように策定していただきたい」と述べた。

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、ドイツやフランスの例を引き合いに、「安定供給にかかわる法的な枠組みをしっかりと整理することが必要だ」と指摘。安定供給責任者の設置について「賛成する」と述べたうえで、「総責をはじめとする三役との役割を明確化し、責任の所在をしっかりとする必要があるのではないか」と述べた。安定確保医薬品の指定についても賛成したうえで、見直しを行ったうえでの指定を求めた。

◎水谷課長「品質と安定供給は相反するものではない」

中島真弓委員(東京都保健医療局健康安全部薬務課長)は、「品質と安定供給は非常に密接な関係があるが、品質上の問題があった時は供給が途絶える可能性もあり、我慢する関係になってしまうとも考える。供給のために品質が疎かにならないように、製薬企業もそうだが製薬企業を監督する行政についても品質と供給を明確に分ける必要がある」と指摘した。

これに対し、水谷課長は、「単に、品質、有効性、安全性が確保された医薬品を供給するというだけではなくて、それが安定的に供給されるからこそ、我が国の皆保険の仕組みの中で使われる関係にあると思っている。必ずしも相反するものではないと思っている」と表明。「どういう主体がどういう役割を担っていただくのか。もし、自治体に担っていただくということであれば当然自治体と意見交換させていただきながら進めていきたい」と述べた。

◎後発品の使用促進「足下の安定供給とバランスを取りながら推進」

このほか、供給不安が起きるなかで、後発品の使用促進策を進める意義を問う声も委員からはあがった。水谷課長は、後発品の新たな数値目標として金額ベースの目標なども示されているが、「限定出荷等となっている品目を含む成分を除いた数量シェア・金額シェアを参考として示すことで、後発品の安定供給の状況に応じた使用促進を図っていく」、「目標年度等については、後発品の安定供給の状況等に応じ、柔軟に対応する」など、安定供給についても明言されていると説明した。そのうえで、「医療保険の持続可能性という観点から、後発品の使用促進を引き続き推進するが、足下の安定供給をまずは大切にしながら、バランスを取りながら取り組んでいきたい」と述べた。

◎品責、安責の法令上義務化、条件付き承認制度の見直しなど議論へ

制度部会では、薬機法改正に向けて今後さらに検討を深める事項をめぐり、議論した。製造販売業者の三役として、総括製造販売責任者(総責)は法令上義務付けられているが、安全管理責任者や品質保証責任者を法律上位置付けることでガバナンスを強化することや、製造管理責任者の薬剤師要件の在り方、適合性調査(GMP)の見直し、小児用医薬品開発の計画策定の努力義務化、条件付き承認制度の見直し、薬局の販売規制などがテーマとしてあがっている。

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