ノボとDeSCヘルスケア MRの「洞察力」をAIモデルが支援 RWD解析で医療ニーズの解像度を高める
公開日時 2025/11/11 04:52
ノボ ノルディスクファーマとDeSCヘルスケア(DeNAグループ)は11月10日、AIを活用した医療情報提供モデルを共同開発すると発表した。リアルワールドデータ(RWD)とAI技術を組み合わせることで、従来のMR活動では捉えきれなかった医療ニーズの解像度を高め、MRによる情報提供活動を高度化することが狙い。DeSCヘルスケアが有する健診・レセプトなど匿名加工された多様なRWDを、両社のAI技術とデータ利活用のノウハウを用いて多角的に分析。MRはAIモデルが導き出す「深い洞察」を活用して、これまで以上に医療機関や医師などのニーズや状況に合致した質の高い情報提供をタイムリーに行うことができる。
ノボ ノルディスクファーマは、「深刻な慢性疾患を克服する」というパーパスを掲げ、その実現に向けてデータの有効活用とデジタルイノベーションの推進に取り組んできた。一方でDeSCヘルスケアは、健診・レセプトなど多種多様な健康・医療情報などのRWDを活用し、生活者の健康増進および保健事業の課題解決に取り組んでいる。また、DeNAグループはエンターテインメント事業やスポーツ事業などを通じ、AIを活用したサービス開発や運営を行うなど、ヘルスケアを含む様々な領域でAI技術やデータサイエンスに関する専門性やノウハウを蓄積している。
◎「医療情報提供モデル」を共同開発 医師が抱く潜在的なニーズや状況を的確に把握
今回の提携にあたり、両社は「医療情報提供モデル」を共同開発する。それぞれの持つデータ利活用のノウハウとAI技術を組み合わせることで、医療ニーズの解像度を高めることが可能となる。また、AIが導くデータをMRが活用することで、日々患者と日々向き合う医療機関や医師などが抱く潜在的なニーズや状況を的確に把握し、「これまで以上に深い洞察を得ることが可能になる」という。
これによりMRは広範囲な医薬品情報の中から、より医療機関や医師のニーズ・状況に合致した質の高い情報提供を行うことができる。さらに、MRがその「洞察」を活用することで、単なる情報提供にとどまらず、より患者を意識した、医療現場の状況に即した質の高い活動が可能になる。
◎ノボ・成田本部長「患者中心の医療情報提供活動につなげる新たな試み」
ノボ ノルディスクファーマの成田由紀パートナーシップ&イノベーション本部本部長は、「今回の協業はまさにRWDとAI技術の組み合わせで新しいイノベーションを生み出し、患者中心の医療情報提供活動につなげていく新たな試みになる」と期待感を表明した。
◎DeSCヘルスケア・伊藤統括部長「創出したエビデンスの社会還元を目指す」
DeNAヘルスケア事業本部副本部長兼DeSCヘルスケア製品開発統括部の伊藤康太郎統括部長は、「我々はサービスを通じた生活者の健康増進、行動変容を支援、ヘルスビッグデータを公益活用し、創出したエビデンスを社会に還元することを目指している。糖尿病領域および肥満症領域でイノベーションをリードするノボ社との協業プロジェクトの立ち上げを嬉しく思う」と強調した。