武田薬品 VELA社の貨物三胴帆船を活用した自社医薬品の大西洋横断輸送で事業提携 2026年後半から実施
公開日時 2025/09/22 04:51

武田薬品は9月19日、VELA Transport社(本社・フランス)の貨物三胴帆船を活用した自社医薬品の輸送を欧州・米国間で2026年後半から実施すると発表した。VELA社の三胴帆船は海上では100%の風力で航行できる。両社は、医薬品輸送専用に設計された三胴帆船を活用することで、輸送に伴う温室効果ガス排出量を航空輸送比で最大99%、コンテナ船比で最大90%削減できると期待している。武田薬品は、「自社以外のバリューチェーンにおける温室効果ガス排出量削減が難しい“Scope3”への対応を加速する上で極めて重要」と強調した。
◎VELA社 15日以内の大西洋横断輸送の実現を目指す
武田薬品は、2040年までにバリューチェーン全体で温室効果ガス排出量のネットゼロを目標に、事業活動や医薬品供給のあらゆる側面に気候変動への適応施策に取り組んでいる。一方でVELA社は、オフショアレーシング技術、直行航路、代替港での効率的な港湾運営といった強みを活かし、コンテナ船よりも短い15日以内の大西洋横断輸送実現を目指しており、2028年までに三胴船を5隻に拡充し、年間4万8000トンの貨物輸送を計画している。
◎GDPに準拠した温度管理可能な冷蔵システムを完備
今回の事業提携は、医薬品輸送専用に設計された貨物三胴帆船を活用して大西洋間の自社医薬品の輸送を行うもので、エンジンは操船時のみ使用し、100%風力で航行する。また、貨物三胴船には、VELA社の「CoolSafe」が搭載されている。これは適正流通基準(GDP)に準拠した温度管理可能な冷蔵システム(医薬品基準準拠の温度管理倉庫:2~8℃/15~25℃)で、船上で発電された再生可能エネルギーによって稼働する。なお、積載量は600ユーロパレット(または500米国パレット)。平均速度は14ノットで12~15日で大西洋を横断するという。
◎武田薬品・ザビエル・バヴィル氏「チーム全員にとって冒険であり、大きなモチベーション」
武田薬品カスタマーエクスペリエンスのザビエル・バヴィル氏(グローバル ディストリビューション&ロジスティクスヘッド)は、「当社には、よりサステナブルで効率的な輸送手段を活用する戦略がある。帆船での輸送はその戦略を後押しする力強い一歩だ。欧州と米国間を再び貨物帆船で航行させることは、チーム全員にとってまさに冒険であり、大きなモチベーションとなっている」と述べた。
VELA社のピエール=アルノー・バロンCEOは、「今回の提携は物流の枠を超え、当社のミッションに新たな意味を与えるものだ。武田薬品とともに、効率的でサステナブルで安全かつ柔軟性のある海上輸送の新しい基準を築いていくのを楽しみにしている」とコメントした。