第一三共 エンハーツとペルツズマブの併用療法 HER2陽性乳がん1次治療の効能追加を一変申請
公開日時 2025/10/08 04:49
第一三共は10月7日、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)・エンハーツと抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ペルツズマブ(一般名)との併用療法について、HER2陽性の進行性または転移性乳がんの1次治療の効能追加を一変申請したと発表した。エンハーツは効能・効果のひとつに「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん」があり、現在は単剤でHER2陽性乳がんの2次治療以降に用いることができる。
今回の申請は、HER2陽性の進行性または転移性乳がん患者への1次治療を対象としたグローバル第3相臨床試験(DESTINY-Breast09)の結果に基づく。
HER2陽性の転移性乳がん患者への1次治療の現在の標準治療はタキサン、トラスツズマブ、ペルツズマブの併用療法(THP療法)となっている。しかし、治療の中止や死亡などで約25~30%は2次治療に至らないとの報告もあり、新たな1次治療の選択肢が必要とされている。
第一三共は、「本剤を通じてHER2陽性乳がんの1次治療に新たな選択肢を提供することで、日本のより多くの乳がん患者さんに貢献できるものと期待している」とコメントしている。
日本では2022年に約9.2万人が乳がんと診断され、約1.8万人が亡くなったと報告されている。早期乳がんと診断された患者の生存率は高いものの、転移性乳がんの予後は悪く、5年生存率は約30%と推定されている。HER2は、乳がんを含む多くのがん細胞表面に発現するタンパク質で、乳がんの5人に1人がHER2陽性とされる。HER2の過剰発現は、乳がんにおいて進行性疾患や予後不良と関連している。