中医協 費用対効果評価 追加的有用性示せず費用増は価格調整範囲拡大へ 検証踏まえて9月以降に
公開日時 2026/01/06 04:47
中医協総会は12月26日、2026年度費用対効果評価制度改革の骨子案を了承した。骨子案には、費用対効果評価をより活用していく視点から、「追加的有用性が示されず、ICER の区分が費用増加となった品目」については、“例えば”としながら、価格調整の対象範囲を現行制度の有用性系加算部分から薬価全体へと拡大することも含めて検討を進めることを盛り込んだ。下限値を「現行薬価の85%」を基本に引き続き議論することも提案された。ただ、製薬業界の反発も大きいなかで、「政策決定の透明性や説明責任を高めるよう」、検証を進める考え。検証の終わった26年9月以降、具体的な方法の詳細を定めたうえで、価格調整を実施する方針。
◎調整後の下限は価格全体の85%に 26年4月以降の品目は「例外的に保留」
骨子では、「追加的有用性が示されず、ICER の区分が費用増加となった品目」について、「比較対照技術の1日薬価を評価対象技術の1日薬価で除して得た比を、評価対象技術の価格調整前の価格に乗じた額を価格調整後の価格とする」ことを提案した。調整後の価格の下限は、「価格全体の85%(調整額が価格全体の15%)とすることを基本に、引き続き議論する」とした。ただし、26年4月以降に評価結果が中医協に報告された品目については、例外的に施行を保留とし、26年9月に中医協での検証報告の議論が終わった後、具体的な方法の詳細について定めた上で、価格調整を実施するとした。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「賛同する」と明言。そのうえで、「記載が“例えば以下の方法を含めて”ということで例示にとどまっており、また来年9月の検証報告の議論が終わった後に、具体的な方法を定めるまで施行を保留するということで、しばらくの間、方向性が定まらないまま価格調整が中断されるという印象を受けている」と指摘した。
そのうえで、「製薬業界の理解を得る必要性は十分に認識しているが、すでに一定の検証は行っている。今回示された価格調整の方法をベースにしながら、来年9月以降なるべく早急に結論が得られますよう、事務局には準備をお願いしたい」と牽制した。
支払側の鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は、「価格調整の対象範囲の拡大に向けて議論の道筋が示されたことは一定評価したい。既存の比較対照技術と比べて、追加的な有用性がなく、単に費用増加となる医薬品について記載されている案は、合理性があると考え、ぜひとも検討を進めていただきたい」と述べた。
◎診療ガイドラインへの経済性評価の反映や診療現場での普及を促進
費用対効果評価を終えた医薬品、医療機器等の評価結果をより活用する観点から、「厚労省及び国立保健医療科学院において、関係学会や関係機関に対して必要な情報提供を行う」とともに、「各学会における診療ガイドラインへの経済性評価の反映や診療現場での普及を促進する」とした。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「関係学会に費用対効果評価結果の情報提供を行うことに異論はない」としたうえで、「評価実施時点でのデータが限られることや、比較対照技術の選定、選定された技術による追加的有用性の有無の変動、価格引上げとなった医薬品がないことなど課題があり、経済性評価を診療ガイドラインに記載することは関係する学会と連携し、慎重に進めることが必要だ」と指摘した。
支払側の松本委員は、「国立保健医療科学院が中心となって、その費用対効果制度の活用について取り組まれることについては大変期待をする。当然、関係学会の情報提供についても進めていただきたい」と表明した。そのうえで、「現場で使いやすい評価のあり方を考えることも、将来的に必要だ」と指摘。肺がんの例を引き合いに、「今後はレジメン単位の評価や3つ以上の技術を並べて評価することもあり得るのではないか」と述べた。一方で、「これまで蓄積された知見を生かした評価の簡素化も重要だ」との認識も示し、「これまでとは少し違う視点での評価についても学会とも連携して、ぜひ検討いただきたい」と要望した。