卸連 中抜け返品事例DBの運用開始 会員の閲覧権限「自社の報告した内容のみ」 悪質事例は会内で検討
公開日時 2026/05/29 04:51
日本医薬品卸売業連合会(卸連)は、不適切な返品を防ぎ、不良品の再販売・再流通を防止するための「中抜け返品事例データベース(DB)」について、4月から本格的な運用を始めた。卸連は蓄積された事例データから傾向分析を行い、製品特性や発生リスクを把握。メーカーや医療機関へのフィードバックを通じ、包装改善や返品抑制に活かす考えだ。単に悪い得意先をDB化するわけではないとしている。また、同DBが独占禁止法の競争制限行為につながらないよう、会員企業の閲覧権限は「自社の報告した内容のみ」とする。悪質事例については卸連・薬制委員会で取扱いを検討する。
◎業界全体の品質管理水準を底上げ
卸連は、同DBによる返品事例の登録・閲覧、蓄積データにより、▽不良品の再流通防止、▽検査精度の向上、▽業務改善と啓発活動の強化――を実現し、「業界全体の品質管理水準を底上げする」ことが目的だとしている。
同DBには、会員企業の担当者1人のみアクセスできる(1社につき1ID)。報告対象は、開封されていること等に気づかずに得意先から開封品、中抜け品、異物混入品である医療用医薬品を返品として受け入れた事例とする。報告内容は、返品した得意先情報、返品を受けた医療用医薬品の情報、開封品・中抜け品・異物混入品の状態、返品商品への対応、承認画像――などとし、これらの入力を求める。会員企業利用者は、「自社の報告した内容」を随時ダウンロードして活用できる。
◎公取委「本DBのデータのみをもって競争制限行為等を行わないことが必要」
卸連はこれまでに、公正取引委員会に同DBが独占禁止法に抵触しないか、特に情報共有の在り方を確認してきた。公取委は「直ちに問題となるものではない」と回答したものの、運用にあたっては「本DBのデータのみをもって競争制限行為等を行わないことが必要」との指摘もあったという。今回、会員企業は「自社の報告した内容」のみ閲覧できる運用とするため、競争制限行為は起こりえない環境といえそうだ。
なお、同DBのトライアル版を25年度に2カ月運用したところ、不適切な返品事例が70件にのぼり、うち約半数が納品した医薬品の一部を使用し、残りを返品する「中抜け返品」だった
(記事はこちら)。70件の不適切返品のほとんどが開封後の返品で、なかには開封のためのミシン目をセロハンテープで貼りなおしてわからないようにして戻されたケースもあった。PTPシートを輪ゴムでしばって個装箱に戻され、返品されたものもあった。