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後発品の価格帯 診療・支払各側とも業界提案を支持 改定後薬価が引き上がる品目は別途加重平均

公開日時 2019/12/09 04:52
次期薬価制度改革で、後発品の価格帯が議論の焦点となっている。日本ジェネリック製薬協会は12月6日の中医協薬価専門部会で、最も低い価格帯も含め、「改定後の薬価が引きあがる品目について、別途加重平均」することを求めた。厚労省は、中間の価格帯のみ、改定後薬価が引きあがる品目を別途集約し、最も低い価格帯では全てをあわせて加重平均することを提案していた。この日の中医協でも診療・支払各側、発言者がすべて製薬業界の意見を支持し、見直しの機運が一段と高まった。後発品80%時代が迫るなかで、薬価差によるシェア獲得など従来型ビジネスモデルからの産業構造転換は避けて通れない状況となった。

◎GE薬協・沢井会長 「過剰な品目を抑制、適正数な品目数に是正も」

この日の中医協薬価専門部会の議論は、後発品に集中した。意見陳述に臨んだ日本ジェネリック製薬協会の澤井光郎会長(沢井製薬代表取締役社長)は、薬価改定により、薬価が引きあがる品目が存在することが、市場での公正な競争を阻害していると指摘した。そのうえで、低価格帯も含めた集約方法の見直しにより、「過剰な品目数を抑制し、ひいては、適正な品目数に是正されていくものと考えている」との考えを表明した。薬価改定により薬価が引きあがることがなくなることで、「将来にわたって持続的に供給していく努力をする企業が最終的に残り、安定供給していくことにより、産業構造の転換を実現できる」と述べた。

◎支払側幸野委員 業界提案に「賛同する」 価格帯最終的な収れんに期待 


後発品の価格帯をめぐっては2018年度薬価制度抜本改革では、原則として上市後12年を経過した後発品を1価格帯に集約する考え方が盛り込まれている。製薬業界側の主張では、価格帯が増加することになるが、前回議論のあった11月27日の中医協薬価専門部会でも診療・支払各側が、薬価が引きあがることを問題視し、「過渡期の対応」などとして容認する姿勢を示していた。なお、理論上では厚労省提案では最大4価格帯、業界側の提案では最大5価格帯となる。

この日の中医協薬価専門部会では、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が、「価格帯数は少し増えるが、最終的に収れんすると期待して、一番下の価格帯を再度加重平均することに賛同する」と述べるなど、価格帯の増加を容認する姿勢を示した。診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、「安定供給や品質の向上は絶対的に必要。薬価を集約することで、薬価が引きあがること自体がおかしい」と発言するなど、発言したすべての診療・支払各側委員が製薬業界側の案を支持した。

後発品80%時代が目前に迫り、安定供給の重要性が増すなかで、品目数が多すぎることが一つの障壁となっているとの指摘もある。診療・支払各側はこの日の中医協で業界再編の必要性にも踏み込んだ。澤井会長は2014年度の200社から現在は190社まで統合・再編が進んでいると説明。「大型化する過程で、同じ製品群を持つ企業同士が統合しても、どちらか一方を整理し、販売を中止する。生産設備の集約など、相当慎重なことを要求される。まずは価格帯集約ルールを変更し、品目数が減れば集約しやすくなる」と述べ、理解を求めた。

◎澤井会長が会見「財政中立より一歩踏み込んだ提案が理解されたのでは」

中医協後に会見に臨んだ澤井会長は、製薬業界の主張を中医協の場で「概ね理解いただけた」との認識を示した。そのうえで、「財政中立より一歩踏み込んだ薬剤費削減につながる提案をしているということで、委員に理解されているのではないか」と述べた。制度改正によるジェネリック業界への影響については、「価格中心で業績を拡大することには厳しい影響出てくる」との見方を示した。日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の政策委員会の田中俊幸実務委員長(東和薬品)も、「売り方が変わるのと、初収載の値付けがだいぶ変わってくる」と見通した。


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