エムスリー AIが胸部CT画像からCOVID-19の存在可能性を抽出 医用画像解析ソフトを承認申請
公開日時 2020/06/04 04:50
エムスリーは6月3日、AIが胸部CT画像からCOVID-19による異常領域の存在可能性を抽出し、医師の診断支援を行う医用画像解析ソフトウェア「COVID-19肺炎検出プログラム Ali-M3(仮称)」を日本で承認申請したと発表した。申請日は非開示。申請はエムスリー子会社のMICメディカルが行った。
同ソフトウェアは、中国のアリババグループによって開発されたAIアルゴリズムを活用したもので、主に▽対象検査画像からCOVID-19存在可能性を数値表示する機能▽異常領域をマーキングして表示する機能――を備える。プログラムはCOVID-19肺炎の検査画像データ3067例を含む7038例の検査画像データを学習データとして用い、ディープラーニングを活用して開発された。
約800例の国内検査画像データを用いた臨床性能試験により精度評価を行い、今回の医療機器製造販売承認の申請に至った。承認取得後はエムスリーAIラボと、医療関連のクラウドサービスなどを提供するNOBORIが推進するエムスリーエッジサーバーを用いることで、医療機関のすべてのPACSシステム(医用画像保管電送システム)が利用できる仕組みとし、広く医療機関に活用してもらえるようにする。
エムスリーは、「COVID-19の確定診断はPCR検査により行われるが、感染疑いの症状を有する患者では診療時に胸部CT検査が実施されるケースも少なくなく、検査直後にCOVID-19の存在可能性の判断を補助するツールは有益と考える」としている。
また、日本は世界有数のCT保有国であることから、「通常診療や救急診療でのCT検査は一般的とされているので、感染拡大によりPCR検査が滞る事態が発生した場合の治療介入判断や感染疑い患者のトリアージ判断の補助ツールとして、本製品が広く活用されることが期待される」ともコメントしている。日本は人口100万人に対し111.49台(17年)のCTを保有し、データのある34か国の中で最も高い。