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厚労省・林経済課長 「量から質への転換と安定確保を担保できる事業者以外は退出を」  安定確保医薬品最優先は21成分

公開日時 2021/03/29 04:52
厚生労働省の「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」は3月26日、安定確保医薬品のリストを了承した。最も優先して取り組みを進める安定確保医薬品(カテゴリA)としては、ワルファリンやメトトレキサート、セファゾリンなど21成分を指定した。今後は、供給不安の未然防止や国内増産、サプライチェーンの多元化、国内在庫の積み増しなどの必要な対応策を厚労省医政局経済課で決める方針。この日の会議では、ジェネリックメーカーの相次ぐ不祥事にも議論が及んだ。共同開発の問題を指摘する声もあがるなかで、厚労省医政局の林俊宏経済課長は改めて安定供給と品質確保の重要性を強調。現在、検討を進める医薬品産業ビジョンでも、「量から質への転換と、しっかりと安定確保を担保できる事業者のみが残ってそれ以外は退出していただいてもいいのではないかということも打ち出して対応したい」と述べた。また、製造販売業の責務からGQPについてもあわせて検討する必要があるとの認識も示した。

この日の検討会で了承された安定確保医薬品のリストは、全506成分(内服薬:216成分、注射薬:24成分)からなる。からなる。安定確保医薬品は、医療上必要不可欠で、汎用され安定確保が求められる医薬品と定義。日本医学会傘下の58学会が選んだ551成分について、▽対象疾病の重篤性、▽代替薬・代替療法の有無、▽多くの患者が服用していること、▽製造の状況・サプライチェーンなどを考慮して、分類した。

◎安定確保医薬品リスト 最優先は21成分 優先は29成分に

「最も優先して取り組みを行う安定確保医薬品(カテゴリA)」は、ワルファリンやシクロスポリン、タクロリムス水和物、プロポフォール、ミダゾラム、ロクロニウム臭化物、ドパミン塩酸塩、アルガトロバン水和物、フルマゼニル、アドレナリン、ノルアドレナリン、スガマデクスナトリウム、メトトレキサート、バンコマイシン塩酸塩、アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム、セファゾリンナトリウム(セファゾリンナトリウム水和物を含む)、セフメタゾールナトリウム、タゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウム、メロペネム水和物、アセトアミノフェン(坐剤)、トロンビンーの21成分。このほか、「優先して取り組みを行う安定確保医薬品(カテゴリB)」に29成分、「カテゴリC」に456成分を指定した。

なお、血液製剤やワクチンは、一般の医薬品とは生産や流通などの性質が異なっていることや、需給、流通、情報不足への取りくみが適切になされていることから、取り組みの重複を避けるために、安定確保医薬品に含まれていない。

◎安定確保スキーム 競合者間での接触はしないことを明確化

今後は、それぞれの医薬品に対して、「供給不安を未然に予防するための取り組み」、「供給不安の兆候をいち早く補足し、早期対応につなげるための取り組み」、「実際に供給不安に陥った際の対応」について対応を順次進める。供給を未然に防止するための方策としては、サプライチェーンの多元化や、安定確保医薬品の流通改善などの措置を進める考え。

実際に供給不安に陥った際の対応として、安定確保スキームについても報告された。当該企業が、▽当該企業が通常有している供給不足の品目と同一成分の製造販売企業およびシェア等、▽当該企業の在庫量、▽当該企業の製造委受託等の状況、▽必要な場合、当該成分の同種同効薬、代替療法の有無、関係する医療学会―など必要な情報を得られる場合と不十分な場合にわけたスキームを明記。情報が不十分な場合は、業界が必要な情報を経済課に提供するとした。なお、競合者間での接触はしないことも明確にした。

ただ、この日の検討会ではこの情報だけでは医療現場が代替薬を判断するのに十分ではないとの指摘も上がった。厚労省の林経済課長は、「現場でこの情報だけで対応できるものではないという指摘をいただいたということで製薬企業には誤解のないように知らせていきたい」と応じた。

◎製造販売業者の責務でGQPに議論が波及 日医・宮川委員「共同開発は責任が不明確になりがち」


小林化工、日医工と相次いで業務停止となった問題にも議論が及んだ。厚労省の林経済課長は、「品質と安定確保は当然遵守すべき問題だ。遵守できない企業は製造業者としてあってはならないが、改めて量ということではなく品質をしっかり確保するということで考えないといけない」との考えを表明。「転換と業界再編について、業界を所管する立場からしっかり指導する必要がある」との見解を示した。この問題については中医協でも、同様の議論がなされている状況にある(関連記事)。

この日の検討会では、共同開発についても問題視する声があがった。宮川政昭委員(日本医師会常任理事)は、「責任が不明確になりがちな共同開発を薬事制度として容認し続けることはどうなのか」と指摘。後発品についても市販後に再審査を行い、合格しない企業は撤退することなどの制度を導入することを提案した。宮川委員は、「後発メーカーに徹底させられなかった薬事行政の問題というのもしっかりと認識してもらわないといけない」、「正確性や実効性を考えて国の施策としてできなければ、安定供給はいつまでも解決しない」と強調した。

これに対し、林経済課長は、製造販売業者の責務がGQPで規制されていることに触れ、「GQPについて追及していく」必要があるとの認識を示した。担当課である厚労省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課では、企業の体制づくりと、当該品目の種類や量と製造能力が合致しているか検討する必要性について課題認識を持っていることなどを説明した(関連記事)。


◎厚労省・迫井医政局長  皆保険を盤石にするためにも医薬品の安定確保が重要に

厚労省の迫井正深医政局長は、「皆保険、長く培ってきたユニバーサルカバレッジを含めて日本の医療の根幹は社会保障と安全保障の根幹だ。制度が盤石になるためには、エッセンシャルな医薬品をどう確保するかということをしっかりやることが重要になる」と医薬品の安定確保のための取り組みの重要性を強調した。「医薬品のカテゴリについてはしっかり運用していきたい。引き続き、実際各企業に様々な安定供給に至らない事態が生じそうになった場合は未然防止や国内増産、サプライチェーンの多元化、国内在庫の積み増しなどを含めて必要な場合は対応する」と述べた。

また、ジェネリックメーカーの相次ぐ不祥事についても触れ、「昨今の様々な事案にしっかり受け止めさせていただく」と述べた。そのうえで、GQPの指摘があったことに触れ、省内の他部局に加え、「厚労省は中心だが、他省庁の力添えも必要だ」との考えも示した。


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