Meiji Seika ファルマ 慢性GVHD治療薬・ベルモスジルメシル酸塩を承認申請 初の選択的ROCK2阻害薬
公開日時 2023/06/28 04:49
Meiji Seika ファルマは6月27日、選択的ROCK2阻害薬・ベルモスジルメシル酸塩(一般名、開発コード:ME3208)について、造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)を対象疾患に承認申請したと発表した。同剤は、厚労省から造血幹細胞移植後の慢性GVHDに対する希少疾病用医薬品の指定を受けており、優先審査の対象となる。
同社によると、予定効能・効果は「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」となる。慢性GVHDは、白血病を含む血液がんの治療として行われる造血幹細胞移植後に発症する合併症で、治療選択肢が限られている。
今回の承認申請は慢性GVHD患者を対象に実施した国内臨床第3相試験の成績に基づく。同試験は、ME3208の有効性及び安全性の評価を目的として、12歳以上の日本人慢性GVHD患者を対象に単一群・非盲検・非対照試験で実施された。その結果、同剤は最良全奏効率(ORR)[完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を示した被験者の割合]を基準とする主要評価項目を達成した。試験成績の詳細は今後、学会などで公表する予定。
ME3208は、免疫細胞の分化と組織の線維化に関与するリン酸化酵素であるROCK2を選択的に阻害する世界初かつ唯一の薬剤。免疫調整作用と抗線維化作用を発揮し、慢性GVHDに奏効することが期待されている。
同剤は米国のバイオベンチャーのカドモン(Kadmon)社が創製したもので、カドモンは現在、サノフィの傘下に入っている。日本を含むアジア13カ国における独占的な開発・販売権は、Meiji Seika ファルマとカドモンが共同出資して設立したロメック・ファーマ(東京都中央区)が保有している。出資比率は非開示だが、ロメックはMeiji Seika ファルマの連結子会社となっている。
なお、米FDAは同剤を画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)、希少疾病用医薬品、優先審査品目に指定。米国では21年8月から慢性GVHD治療薬・Rezurockとして販売され、23年3月にはカナダと英国でも発売された。