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官民協議会WGで議論の整理骨子を提示 RWD活用で革新薬の評価と国民皆保険の両立 処方量の適正化も

公開日時 2025/09/24 04:51
厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は9月22日、創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループに議論の整理(骨子)を提示した。骨子では、革新的新薬については価値に見合った薬価算定とする必要性性を指摘した。一方で、国民皆保険の持続性の確保の観点から、「リアルワールドデータの活用を含めた様々な視点からのデータを分析しつつ、革新的新薬等の評価の充実と国民皆保険の持続可能性確保を両立するための対応」の必要性も盛り込んだ。この日の議論では、薬剤費が「薬価」と「処方量」を掛け合わせたものであることから、処方量の適正化の必要性を指摘する声も構成員からあがった。

◎ 革新的新薬がもたらす価値に見合った薬価算定への対応を

骨子では、創薬イノベーションの観点から、「革新的新薬がもたらす価値に見合った薬価算定への対応」の必要性を盛り込んだ。意見として、原価計算方式をめぐる課題や再生医療等製品など新規モダリティの評価をめぐる課題などの意見があったことを盛り込んだ。この日の官民協議会でも、再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の畠賢一郎代表理事会長が参考人として出席。再生医療等製品は既存医薬品とは大きく異なるとして、従来の医薬品とビジネスモデルや適応すべきルールを変える必要があると主張した。

革新的医薬品の特許期間中の薬価については、「その薬価を維持し、研究開発コストを回収しやすくすることにより、将来の革新的新薬等の研究開発を促進するための対応」の必要性を盛り込んだ。「薬価制度は予見性が担保され、シンプルな仕組みとすべき。カテゴリー別に改定を行い、革新的医薬品の特許期間中の薬価については、薬価を維持するべき」などの意見があったとした。費用対効果評価制度についての懸念や市場拡大再算定制度の適用除外などについての意見をまとめた。

◎RWD活用で革新薬による医療負荷の軽減など分析を

革新的新薬等の評価の充実と国民皆保険の持続可能性の確保との両立が求められるなかで、「リアルワールドデータの活用を含めた様々な視点からのデータを分析しつつ、革新的新薬等の評価の充実と国民皆保険の持続可能性確保を両立するための対応」も盛り込んだ。「革新的新薬の導入によってもたらされる医療の改善及び医療負荷の軽減について、リアルワールドデータの活用を含めた様々な視点から積極的に情報を集め、分析することが必要」との意見があったことなどを盛り込んだ。一方で、この日の議論では、処方量の適正化に言及する議論もあった。薬剤費は薬価と処方量の掛け算で算出されることから、薬剤費の適正化に向けて処方量の適正化を求める声も委員からあがった。

◎G1/G2、選定療養などの政策効果を分析してさらなる施策の必要性を検討

また、医薬品産業の構造改革も柱建てし、「長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却について」をテーマにあげた。「後発品上市後、後発品企業による安定供給等に円滑に移行するための対応(長期収載品の段階的な薬価引下げルール等)」として、「長期収載品の段階的な薬価引下げルール(G1/G2)や選定療養等の政策効果を分析し、さらなる施策の必要性等を検討することが適当」などの意見があったことを紹介した。

一方で、後発品企業をめぐっては、「品質が確保された製品を安定的に市場に供給している後発品企業が評価されるための対応」の必要性を盛り込んだ。「結果的に銘柄数の増加につながる後発品の安易な共同開発について、抑制する政策を検討すべきである。具体的には、同一共同開発グループに属する品目の薬価を同一にすることが簡易かつ有効な方策と考えられる」との意見も盛り込んだ。

骨子をめぐり、「創薬支援の取り組みは官民でさらに議論すべき」、「日本の強みとして製造プロセスのイノベーションを考えるべき」、「産業政策の観点から、日本市場だけ見るのではなく、輸出強化をしていくべき」などの意見があったという。

この日は、日本製薬団体連合会、日本ジェネリック製薬協会、日本バイオシミラー協議会、再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)が参考人として意見を述べた。薬価をめぐっては中医協と同様の内容を主張した。

なお、官民協議会のワーキンググループでは、まずは、薬価を含めた「投資とイノベーションの循環が持続する社会システムの構築」をテーマに議論を深め、今秋には議論の整理を中医協に報告する方針。
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