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厚労省・安藤課長 市場実勢価ベースに「過度な薬価差、薬価差偏在は是正」 今夏に有識者検討会立ち上げ

公開日時 2022/07/19 04:52
厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の安藤公一課長は7月15日、第24回インターフェックスWeek東京で講演し、「市場実勢価主義を破棄することはないと思うが、実勢価方式をベースとしながら過度な薬価差、薬価差の偏在問題については是正する取り組みを進めなければならないのではないか」との見解を示した。後発品の使用浸透が進み、スペシャリティ医薬品が増加するなど、医薬品のカテゴリーチェンジも進む。毎年薬価改定の導入で、さらなる環境変化も見込まれるなかで、流通コストの構造変化も想定される。安藤課長は市場実勢価主義に基づく薬価改定について、「思惑通りに実際に改定が行われているのかどうか。もう一回、立ち止まって考えていかないといけない」と強調。厚労省は今夏にも、「医薬品の迅速かつ安定的な供給のための流通・薬価制度に関する有識者検討会」を立ち上げる方針で、今後議論が加速することになる。

日本の薬価制度は、医療現場が医薬品の価値を評価する、市場実勢価格主義を貫いてきた。2000年度改定以降が、医療機関の平均的な購入価格の保障の考えに基づき、薬剤流通の安定のための調整幅を設けた、「市場実勢価格加重平均値調整幅方式」が取られている。20年間制度に変更がないなかで、医薬品を取り巻く環境は大きく変化している。後発品80%時代に入り、先発メーカーの主力品もスペシャリティ医薬品へとシフトするなかで、薬価・流通を取り巻く環境も大きく変化してきている。また、日本の医薬品市場成長が横ばいであることが見込まれるなかで、内資系大手製薬企業などが米欧市場を重視するなど、企業動向も変化してきている。一方で、22年度から団塊世代が後期高齢者に入り、今後25年にかけて医療費の抑制は国家的な課題と言える。公的医療保険制度の枠組みのなかにある薬価制度も当然のことながら、財政との均衡点を探ることが求められている状況にある。

◎足下の課題はドラッグ・ラグと安定供給 ドラッグ・ラグは「時間差か、日本の市場回避かわからない」


安藤課長は、「様々な環境変化が足下で起こっているなかで、いまの薬価制度・流通制度のあり方は果たしてどうなのか、と問われているのではないかと思っている」と表明。「足下では後発品をはじめとした医薬品の供給問題がある。また、どこまで顕在化しているかは議論のあるところだが、新薬で言えば、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの懸念が出始めているという風に、業界からは指摘を受けている。足下での課題も顕在化し始めている」と懸念を示した。なお、先発メーカーが主張するドラッグ・ラグについては、「時間差があるということなのか、製薬企業として日本の市場を回避しているかは、(製薬協の資料だけでは)わからない」とも述べた。

そのうえで、6月に開かれた革新的医薬品等創出のための官民対話で後藤茂之厚労相が流通・薬価・検討会有識者検討会を立ち上げることを表明したことを紹介し、「流通・薬価制度のあり方について検討するということは、我々としてもそこに踏み切って対応する判断をした」と強調した。そのうえで、「いま検討会を回していくための準備段階で、本日時点で確定的なこと、具体的に何をするのか、何を検討するかを話すのは難しい段階だが、この夏の終わりまでには検討会を立ち上げて議論をスタートしていきたい」と意欲を示した。

23年4月に実施される2度目の診療報酬改定のない年の薬価改定(中間年改定)、24年4月に予定される診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定を見据え、「全体の動きのなかで、検討会でいつ、どのような形で検討し、どのような形で中医協に提言していくかは戦略的に動かなければいけないと思っている」とも述べた。

◎市場実勢価格主義「もう一回、立ち止まって考えていかないといけない」


そのうえで、「私、個人の想い」としたうえで、「安定供給の問題とも大きく絡むが、日本の薬価の改定の仕組みは市場実勢価方式だ。医薬品自体の付加価値、価値については、様々な要因があるが、一定程度変わり得るものだと思っている。コスト構造自体も変わり得るものだ。実際に市場の中で適切に価格を評価することが市場取引に委ねられているのが日本の仕組みだ。そこで、作られた市場実勢価格に基づいて薬の価格を改定するのがいまの日本の仕組みになっている。制度をつくったときに想定されている考え方なんだろうということだが、思惑通りに実際に改定が行われているのかどうか。もう一回、立ち止まって考えていかないといけない。いわゆる過度な薬価差、薬価差の偏在が起こっているのではないかという視点で考える必要がある。実勢価主義を廃棄することはないと思うが、実勢価方式をベースとしながら過度な薬価差、薬価差の偏在問題については是正する取り組みを進めなければならないのではないか」と述べた。

◎新薬創出加算品と安定確保医薬品は市場実勢価主義がなじむのか? カテゴリーも論点に

安藤課長はまた、市場実勢価主義を新薬創出等加算品目や、安定確保医薬品も含めた、すべてのカテゴリーに当てはめる必要性があるか、についても言及。「実勢価方式が基本だったとしても、すべてのカテゴリーについて、実勢価方式を当てはめていくのかどうかも、一つ考えていかないといけない問題なのかもしれない。新薬創出等加算は基本的には一定期間薬価を維持する仕組みだ。それ自体がそもそも本当に機能しているのかというところもひとつ議論としてあるが、実勢価方式に並べたときに価格が改定されないということを前提としている制度が本当になじむのかどうか。この辺も考える一つの論点かもしれない」と指摘した。

また、「医療上必要性の高い医薬品について、安定供給の観点から市場実勢価方式のなかでほかの医薬品と同列で扱っていいのかどうかも考えなければいけないかもしれないな、と思っている。安定供給を図るという観点から、医薬品メーカー側の産業構造についてどう考えるのかについてもひとつ議論しないといけない論点かもしれない」との考えを示した。医療上必要な品目とされる安定確保医薬品については、「これから薬価・流通制度の改革をしていくが、そのなかで安定確保医薬品は一つ重要な切り口になってくるのかな、と思っている」とも述べた。

◎財政と産業のバランスを制度としてどう取るか「一回立ち止まって考えないといけない」

安藤課長は、「当然、薬価制度は医療保険制度の枠内で運営されていくので、財政との両立についても避けては通れない検討課題だろうと思っている。財政と産業についてどうバランスをとっていくのか。そのバランスを制度としてどう取り方としてはどういう方法があるのか。今の仕組みでいいのか。一回立ち止まって考えないといけないだろうと思っている」との考えも示した。今夏の有識者検討会立ち上げに向け、安藤課長は「少しでも現状の課題、大きく変わりつつある環境変化に即す制度にもっていければと思っている」と意欲を示した。
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