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ミクスOnlineが伝えた2021年 安定供給問題に揺れた1年 報道回数は「自主回収・出荷調整」がトップ

公開日時 2021/12/28 04:52
ミクス編集部は2021年にミクスOnlineで報じたニュースを通じ、この1年間を振り返ってみた。1月~6月までの上半期のアクセスランキングトップは「塩野義製薬・手代木社長 新型コロナワクチンは年内供給目指す」(5月11日付⇒こちら)で、年間を通じて最もアクセスされ、読者が評価した記事の第1位に輝いた。年前半で最もインパクトのあったコンテンツは「小林化工・小林社長が会見 申請時の虚偽記載は“特許切れ後すぐ承認が目的”」(4月17 日付⇒こちら)で、読者から寄せられる評価ランキングやNPS(ネットプロモータースコア)でも関連記事や特集記事が上位にランクされた。7月~12月までのアクセスランキングトップは、「長生堂製薬など製薬5社 アセトアミノフェン錠の自主回収(クラスⅡ)一斉に公表」(9月3日付⇒こちら)となった。年後半はランキング上位に後発品の自主回収・出荷調整の記事が並ぶなど、安定供給問題に揺れた1年だったことを裏付けた。

【21年1月~6月末のニュースアクセスランキング】
1.塩野義製薬・手代木社長 新型コロナワクチンは年内供給目指す 治療薬は今秋までに臨床試験開始へ(5月11日付⇒こちら
2.アレジオンドライシロップを自主回収(クラスⅡ) 許容限度値超の変異原性物質を確認 日本BIなど4社(3月15日付⇒こちら
3. 21年1月 インフルエンザ患者数 直近5年平均の1000分の1 「流行なく春を迎えるかも」(2月16日付⇒こちら
4.米国CDCが新型コロナワクチンの副作用レポートを発表(2月22日付⇒こちら
5.新型コロナへのイベルメクチン投与でEMA 現時点では推奨を裏付けられない(3月26日付⇒こちら

【上半期・ランク外・上位トピックス】
・小林化工・小林社長が会見 申請時の虚偽記載は「特許切れ後すぐ承認が目的」 営利に走った結果(4月17日付⇒こちら
・三重大病院元教授への贈賄疑い 小野薬品の営業本部社員2人を逮捕(1月27日付⇒こちら
・アステラス製薬 「早期退職者優遇制度」導入 グループ会社2社を含む社員450人程度想定 12月末退職(6月3日付⇒こちら
・日医工・田村社長が謝罪会見 「品質保証、量的供給、安定供給という優先順位のバランスが崩れてしまった」(3月4日付⇒こちら
・卸談合事件 アルフレッサ・スズケン・東邦の3社と7人に有罪判決 東京地裁(6月30日付⇒こちら

◎上半期の話題は新型コロナのワクチン・治療薬 特例承認から国家戦略へ

21年上半期は、新型コロナウイルス感染症の治療薬、ワクチンに関するニュース記事が目につく。厚生労働省は2月14日にファイザーの新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注」を特例承認した。治療薬では、MSDが4月20日の年次会見で、経口投与の軽症新型コロナ治療薬MK-4482(モルヌピラビル)について日本含む第3相試験開始すると発表し、12月24日に特例承認された。政府も6月1日に「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を閣議決定。フラッグシップ拠点整備、国による買上げ、原材料国産化などの方策を打ち出している。

◎小林化工・調査結果報告書の衝撃 「出荷を優先するという意識が全社的にあった」

上半期最大のトピックスは、経口抗真菌薬に製造過程で睡眠導入剤を混入し、服用した患者から死亡例を含む健康被害を生じさせた小林化工問題に他ならない。本誌4月17日付で報じた小林化工の「調査結果報告書」の中身は衝撃的なものだった。「製薬企業としてある程度の売上高がないと生き残っていけないという判断があって、売上を中心とした出荷を優先するという意識が全社的にあった」と記者会見で述べた小林社広幸社長(当時)の発言に驚きを隠せなかった(取材記者談)。その後、経営陣が退陣し、新たな経営体制のもとで再起に動き出したが、12月3日にサワイグループHDと親会社オリックスとの間で、小林化工の生産施設および関連部門人材の譲渡契約を締結、新設子会社「トラストファーマテック」で受け入れる方針を決定した。これにより小林化工は事実上の再建断念を決断することになる。

◎卸談合事件 アルフレッサ・スズケン・東邦の3社と7人に有罪判決

このほか独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が発注した医療用医薬品の入札をめぐる談合事件で、独占禁止法違法罪に問われたアルフレッサ、スズケン、東邦薬品の3社と、業務に従事していた7人の判決が東京地裁であった。東京地裁は3社と7人に対し、いずれも有罪判決を言い渡した。ただ、11月6日には国病機構本部を発注者とする「九州エリア」における医薬品入札の談合疑いで、医薬品卸6社に公取委の立入検査を受けるなど、なお、余波が卸業界を襲っている。

【21年7月~12月のニュースアクセスランキング】
1.長生堂製薬など製薬5社 「アセトアミノフェン錠」の自主回収(クラスⅡ)一斉に公表 承認外の製法判明(9月3日付⇒こちら
2.後発品の出荷調整拡がる 東和薬品は241品目に 骨粗鬆症薬は先発品も(7月12日付⇒こちら
3.活性型ビタミンD3製剤の出荷調整が拡大 共創未来も新規採用を辞退 骨粗鬆症以外の治療への影響懸念(7月19日付⇒こちら
4.後発品出荷調整に伴う医療現場の不安ピークに 沢井製薬も新たに30製品が出荷調整 合計414製品(8月20日付⇒こちら
5.日立物流火災で製薬各社調査に追われる 杏林製薬、大原薬品、日本ジェネリック、帝國製薬など(12月1日付⇒こちら

【下半期・ランク外・上位トピックス】
・武田薬品 厚労省、モデルナ社と新型コロナワクチン5000万回接種分を追加輸入・供給で合意(7月21日付⇒こちら
・小野薬品 三重大学医学部奨学寄附金問題で調査報告書公開 贈賄事案の全容明らかに 社長・関係役員等を処分(8月6日付⇒こちら
・アストラゼネカ 早期退職者の募集開始、45歳以上のMR対象 コロナ禍のデジタルシフトも影響(10月27日付⇒こちら
・スズケン 連結子会社3社を含む希望退職者の募集開始 投資原資の創出に卸売事業の構造改革が必要と判断(8月25日付⇒こちら
・厚労省 抗体カクテル療法・ロナプリーブ点滴静注の宿泊療養での投与可能に 事務連絡を改正(8月14日付⇒こちら
・徳島県 長生堂製薬に最大31日間の業務停止命令 虚偽の製造指図書、製造記録、出納記録作成・報告せず(10月11日付⇒こちら
・22年度診療報酬改定 本体改定率プラス0.43%、実質本体はプラス0.23%で最終調整 リフィル処方導入へ(12月19日付⇒こちら

◎後発品の自主回収・出荷調整を連日ニュース報道 各社の自主点検から問題発覚も

下半期は、小林化工問題の余波がぬぐい切れず、後発品の自主回収・出荷調整など供給不安をめぐるニュースを連日報道した。この背景にはGE薬協が会員企業に行った自主点検や規制当局の無通告査察などで発覚したものが多い。後発品等の出荷調整は広範囲におよび、治療継続に影響が及ぶなど、関係学会が緊急ステートメントを発表し、治療を優先すべき患者の基準を提示するなど、医療現場の理解を求める場面も見られた。加えて、さらなる事態として11月29日に発生した日立物流西日本物流センターの火災で、保管委託していた複数企業の製品が消失する事態も発生した。沢井製薬や東和薬品などの後発品専業企業は生産能力の増強に向けて生産施設への投資を進めているが、供給不安を完全解消するまでは、もうしばらく時間を要する見通しだ。

◎逮捕者2人を出した三重大学贈収賄事件 公競規違反と認定

話題となったニュースでは、小野薬品の営業本部社員2人の逮捕者を出した三重大病院元教授への贈賄事件が注目された。小野薬品は8月6日に「外部調査委員会」報告書を公表した。報告書では、「これはビジネスチャンスである」-として、元教授への奨学寄附金を提供するまでの一連の社内手続きや、その時のやり取りを明らかにしている。本誌も、「MRにとってグレーゾーンの中で起きた事件」として報じたが、12月15日にメーカー公取協が公競規第3条違反と認定し、「警告」を通告。改善策検討し報告するよう要請した。

◎AZ、スズケンで早期退職者を募集 MR数の減少続く コロナ禍で「ハイブリッド型」


このほか下半期は製薬企業のMR、大手医薬品卸のMSに早期退職者優遇制度が導入されるなど、コロナ禍を経て、セールス・マーケティング部門の生産性向上を目的とした「働き方改革」もニュースとなった。オンライン面談を含むデジタル活用も活発化している。医薬品情報の提供活動については、コロナ以前のような対面スタイルに戻ることなく、リアルとオンラインを組み合わせた「ハイブリッド型」の活動がより求められることになる。

下半期最後の話題として、22年4月実施の診療報酬改定の行方が注目された。政府は本体改定率をプラス0.43%、実質本体はプラス0.23%と決定。同時にリフィル処方せんの導入を決めた。リフィルの詳細は今後の中医協で詰めることになるが、医療機関・薬局の双方の機能や役割に影響するとみられ、議論の行方が注目されるところだ。特に、今後の地域医療や製薬企業のMRとのタッチポイントも変化するだけに、中医協の議論の推移を見守る必要がある。一方で、薬価については、23年度に予定する毎年薬価改定(中間年改定)に向けて議論が活発化する。

2022年は製薬業界にとって激動の年が待っているだろう。ミクス編集部としても、時代の変化を捉えつつ、「半歩先を照らすメディア」として読者の皆さまに有益な情報をこれからもお届けして参りたい。引き続きご愛顧いただければ幸いだ。(ミクス編集長 沼田佳之)



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